この記事のポイント
- 2025年は「売上増」でも「来店頻度は減る」局面
- 消費は二極化:安さで回す層 vs 体験に払う層
- 35,000〜50,000VNDが“最重要・激戦”価格帯
2025年は「売上増」でも「来店頻度は減る」局面
ベトナムのコーヒー・ミルクティー市場は、全体の売上規模が伸びる一方で、家庭外での飲用頻度が落ち着いてきています。iPOS(飲食店向け経営ソリューション)とネスレプロフェッショナルの調査では、2025年の飲料業界売上は前年比+6.1%の1,254億8,500万VNDに達する見込みとされています。これは単純計算で、ベトナムの消費者が1日あたり約3,440億VNDをコーヒー・ミルクティーに使っていることを意味します。
ただし成長率は鈍化傾向です。2023年は+20.5%だったのに対し、2024年は+13.4%へ低下し、伸び率が2年連続で落ちています。市場が「拡大期」から「調整期」に入った、という見方が現実的です。
主流は週1〜2回へ:毎日飲む層が縮小
調査(主にホーチミン市・ハノイの回答者3,000人超)では、コーヒー/ミルクティーを毎日飲む層が18.2%→13.6%へ大きく減少しました。週3〜4回の層も微減しています。
一方で増えたのが「時々飲む」層です。週1〜2回の層が33.5%→38.19%に増え、最も比率の高いボリューム層になりました。月1〜2回の“たまに層”も増えています。
消費は二極化:安さで回す層 vs 体験に払う層
興味深いのは、頻度と単価の関係です。月1〜2回の層は、1杯あたり71,000VND以上を支払う比率が最も高い一方、毎日層は20,000VND未満の比率が最も高いとされています。
つまり、同じ「飲料消費」でも、①たまのご褒美として“体験”に払う層と、②日常コストとして“効率”を最優先する層に分かれてきています。頻度が落ちる局面では、単なる値引き合戦よりも「選ばれる理由」が問われやすくなります。
35,000〜50,000VNDが“最重要・激戦”価格帯
市場の中核価格帯は35,000〜50,000VNDです。このゾーンには「時々層」と「頻繁層」の両方が集中し、安定売上と利益率の両立が狙える“最重要レンジ”とみなされています。
一方で、顧客離れを恐れて値上げに慎重な企業が約48%というデータもあり、この価格帯は「上げにくい」現実もあります。50,000VND超へ引き上げるなら、価格変更だけでなく、コスパ(価格に見合う価値)を顧客に納得してもらう設計が必須です。
ミルクティーチェーンを複数展開するBlack Pearl VietnamのCEOは、2025年の市場が「バーベル効果」のように二極化すると見ています。片側は超低価格で客数を取りにいくモデル、もう片側は高い体験価値でライフスタイルに入り込むブランドです。
この間にいる中堅は、安さでも体験でも勝ち切れず、最も脆弱になりがちです。中堅の現実解は、①看板商品の明確化(選ぶ理由を1つに絞る)、②オペレーション改善(待ち時間・品質ブレの削減)、③客層別のメニュー設計(35,000〜50,000VNDの守り+上位商品の作り方)の3点を同時に進めることです。
関連情報:ベトナムのカフェチェーン動向もあわせて確認
ベトナムでは都市部を中心にチェーンが伸び、消費者の選択肢が増えています。チェーン事情やコーヒー消費の背景を押さえたい方は、ベトナムのカフェチェーン事情と拡大するコーヒー消費量も参考になります。
また、コーヒー産業の構造(生産〜消費)から整理したい場合は、ベトナムのコーヒー産業もあわせてご覧ください。
MAIの支援:市場調査〜チャネル開拓〜運用設計まで
「どの価格帯で、どの客層に、どんな体験価値を出すか」は、机上の一般論だけでは決めにくい領域です。MAI Internationalでは、ベトナム現地での市場調査や競合ベンチマーク、チャネル戦略(HORECA/小売/EC)設計まで一気通貫で支援しています。サービス全体像はベトナム市場調査サービスもご参照ください。
※本記事は、VnExpressの記事(2026年4月時点の報道・資料)をもとにした一般的な整理です。最新の統計・調査結果は必ず原典をご確認ください。