モバイルワールド、合弁でインドネシアに出店

ベトナムでは、経済成長に伴い、国内企業が成長を遂げてきております。政府の後押しもあり、国内市場だけでなくベトナム国外への進出も進んできております。

家電小売最大手のモバイルワールド(Mobile World)は、自社ブランドを家電以外でも、ミニスーパー・ドラッグストアやベビー用品・サイクルショップなど様々なカテゴリーに広げていますが、近年は海外進出にも積極的です。市場調査の末、2022年よりインドネシアで地場Erafone Artha Retailindoとの合弁でErablueというブランドを作り、店舗展開を行っています。2023年4月現在、まだ損益分岐点には達していない投資段階とのことですが、すでにインドネシアで5店舗を開店しています。

インドネシア出店から1年、引き続き攻勢をかけています。ベトナム国内のメディアによると、モバイルワールド担当者は“インドネシアの小売りチェーンはショッピングモール中心で、すべての消費者にとって利便性が高くない”と考えているとのことです。「今後5年以内にインドネシアに500店舗を展開し、20~40%の市場シェアを獲得して、年間 20~40 億USDの収益を上げ、インドネシアで Erablue を上場させる」という高い目標を掲げています。

同社はベトナム国内で凄まじい速度の出店ペース見せているので、筆者としてもこのような目標が実現しうるのではないかという気がします。

同社WEBより
同社WEBより

一方で、インドネシアよりも早くスタートさせた同社のカンボジア事業Bluetronicsは6年目を迎えましたが、2023年に入って撤退を決めました。積極的な出店攻勢で、Bluetronics(当時の店名はBigPhone)は、2021年当時55店舗で国内最大級のチェーンに成長しました。ただし、関税による販売価格が下げられず複雑な税制などにも苦戦し、すでに2店舗まで減らしていました。
また、撤退の要因として大きかったのが、限定的な市場規模ということです。カンボジアの人口は現在1,700万人ほどで、上記の55店舗を運営しているときでさえ、グループ全体の総収益の 0.5% 未満にすぎませんでした。
そのため、カンボジア事業をやめて、ベトナム国内市場と、人口が大きく潜在性が高いインドネシア市場に注力する格好です。この切り替えの速さもベトナム企業ならではと言えるかもしれません。

モバイルワールドは昨年の総収益の20%は国内ミニスーパー事業「Bach Hoa Xanh」で上げており、家電以外での事業も成長させています。今年は店舗拡大よりも、既存店舗の収益性を高めることに注力すると考えられています。このように、家電以外でも存在感を発揮しています。

ベトナムの小売王者がどのように海外事業を進めていくのか、注目されています。

地場カフェチェーンも海外出店

またモバイルワールドだけでなく、たとえばベトナム地場人気カフェチェーン「Cong Caphe」が2019年より海外進出に取り組んでおります。フランチャイズのようですが、2023年4月現在、韓国3店舗、マレーシア1店舗を運営しています。
今後も、このようにベトナム企業が他国で事業展開や投資を実施する機会が増えていくと考えられます。

現状、日本で活動するベトナム企業は、一部の不動産・金融・IT分野に限られています。そのうちに、日本市場にもこのような大手チェーンが進出・出店することがあるかもしれません。

MAIインターナショナルでは、ベトナム国内で活動する小売プレーヤーなどの市場調査が可能です。なにかあればお気軽にご相談いただければと思います。