ベトナムの小売市場は、80%以上をトラディショナルトレード(伝統的小売市場:小規模の個人経営店舗)が占めており、それらで商品を購入する際はクレジットカードなどは使う事ができず、ほとんどのケースで現金払いをする必要があります。

VNExpressに掲載されていたイギリスのスタンダードチャータード銀行の調査によると、ベトナムは東南アジアの中でもかなり現金決済の比率が多い事がわかります。

スタンダードチャータード銀行調査(ソース:VNExpress)
スタンダードチャータード銀行調査(ソース:VNExpress)

ベトナムのクレジットカード利用率は、4.12%とフィリピン(1.94%)、インドネシア(2.44%)よりは多いですがかなり低い水準です。

一方、現金決済利用率に関しては、90.17%とダントツの一位になっており、いかに非現金決済が普及していないかを知る事ができます。

この様な状況からベトナム政府は、2016年に首相政令「No. 2545 / QD-TTg(2016年~2020年までの非現金決済ソリューション開発計画)」というキャッシュレス決済の浸透計画を発表し、多くの公共機関でも導入が進みつつあります。2020年は新型コロナウイルスの影響でECサイトでの購入が増えた事を後押しに、この政令で定められた政府目標は達成されました。続いて政府は、首相政令「No. 22 / CT-TTg(ベトナムでの非現金決済ソリューション開発促進計画)」を公布し、更なる浸透を進めている段階です。

この様な状況において、電子マネー決済はベトナム政府のニーズに合ったものとして、今後も成長していく事は間違いないと思われますが、現在、40社近くの企業がこのサービスを展開しており、競争の激化が予測されています。

現在、この中で最も有力と言われているのは、「ONLINE MOBILE SERVICES JOINT STOCK COMPANY」が運営している、「MOMO」というサービスです。

MOMO(ソース:同社ウェブサイト)

ベトナム国内で120,000以上の店舗や企業へサービス提供しており、2,300万人以上が利用しており、2020年のトランザクション数は2019年比で3.5倍、140億USDに達していると言われています。

店舗や公共料金の支払い以外にも、コンビニやスーパーでの現金引き出し、利用者同士の送金、旅行代金の支払い、保険料の支払い、ゲームダウンロード、エンタメ(映画・宝くじ)等の支払いなど様々な機能を利用する事ができます。

ゴールドマン・サックスなど多数から出資を受けており、2021年には第4ラウンドの資金調達(シリーズD)の完了し、この資金調達ラウンドは、シリコンバレーファンド、ウォーバーグピンカスの金融投資ファンドであるグッドウォーターが主導しています。

また、同社は2021年~2025年までの間にIPOを行う見通しであるという事も発表されています。

この内容を見ると、「MOMO」がベトナムの電子マネー決済市場をリードしているという事がわかりますが、前述したように40社近くがサービスを展開している為、今後もこの業界の動向に注目が集まると予測されます。

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