ベトナムでは2022年現在、小売店舗の近代化が進んできています。これまでの伝統的な市場から、コンビニエンスストアやスーパーマーケットに置き換わってきております。その変化によって、製品カテゴリーの拡大が進んでいるのですが、変わらず並んでいるカテゴリーもあり、それが石鹸やシャンプーなど一般消費財やスナック菓子・ビールなどの飲料になります。
ドイツ系統計プラットフォームのStatistaによると、ベトナムのスナック菓子(クッキーやチップスを含む)の売上は2022年に53.8億 USDにのぼるとされています。また、同市場は年間8.72%の成長が見込まれています。
市場調査をしていて、スナック菓子の棚でひときわ目立つのがこの「Oishi」というブランド。日本では見かけないブランドですが、パッケージに日本語で「おいしい」と書かれています。なんとなく、日本人からだと日本国内の有名えびせんブランドを想起するかもしれません。
このブランドは、Lays’(サントリーペプシコ)やSLIDE(モンデリーズ・インターナショナル、厳密には同社と地場との合弁であるモンデリーズキンドー)など超大手グローバル企業の製品と、ベトナム国内の小売店でチップス分野で棚をとりあっています。
この「Oishi」を生産しているのは、1996年にフィリピンにて、華僑の兄弟によって創業された製菓メーカー「Liwayway Group」です。中国には「上好佳」というブランド名で進出し、中国全土に商品を展開し、高い知名度を誇ります。
創業者兄弟の兄にあたるカルロスチャンは、2022年の経済誌フォーブスで「フィリピンの富豪ランキング50」で38位に選出されるほど成功した人物として知られています。ドゥテルテ大統領から中国への特使に任命されるなど、80歳を超えても、なお政界を含めた影響力を持っています。
また余談ですが、フィリピンにはユニクロのようなアパレルSPAで「BENCH」という地場ブランドがあります。全土のショッピングモールに広く出店するなど浸透しており、このブランドを立ち上げたベンチャンという人物は、カルロスの実弟にあたります。このように兄弟で国を代表するブランドを成功させているのですから、地盤だけでなく非常に商才のある一家なのでしょう。
もともと、カルロスチャンの一家は70年代からフィリピンのブラカン州で日本の技術と生産設備を導入して、えびせんスナックを生産しており、その際に知った日本語の「おいしい」をブランド名に引用したとのことです。
ビンズン省に生産工場があります。今はわかりませんが、以前はホーチミン市内の販売拠点にはフィリピン人のスタッフも在籍していました。
スナック菓子の印象が強いですが、チョコレートスティックのようなカテゴリーも持っています。
筆者はこのSnack Tôm(エビのスナック)が好きで、味は日本のものより強めです。スパイシーな塩味です。包装の表記を見ると、成分としてエビも使用されているようです。
注意点としては、タイにも同じように日本語を引用した企業名の「OISHI GROUP」という、外食・食品分野の上場企業があります。ただし、「Oishi」の「Liwayway Group」とは全く関係がありません。
韓国のORIONなど、このようなアジア発の製菓ブランドがベトナムでは浸透しています。各社SNSだけでなく店舗での試食などマーケティング施策を行っています。
MAI INTERNATIONALでは、製菓分野でトレンドを踏まえた市場調査や戦略策定、テスト販売が可能です。是非お気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。