ベトナムで生活していると、EC通販を利用してものを購入する機会が非常に増えたことを実感します。
LAZADAやShopeeなど大手ECモールはもちろんのこと、小売・メーカー各社がウェブやSNSを通じて消費者から直接注文を受注し、通販を行っています。
数年前からこの動きは活発でしたが、コロナ禍による都市部での外出制限により一層加速したと考えられます。

ベトナムEC協会(VECOM)の2021年の報告書によると、EC市場は2021年に前年から20%増の成長を遂げて、160億ドルの市場規模になっています。これは、ASEANではインドネシアに次ぐ2番目の規模です。また、インドの調査会社Allied Market Researchは、EC利用者は2025 年までに人口の約 55% に達し、年間平均消費額が600 ドルに達すると報告書で予想しています。

この分野で注目されるのは、上記のような販売プラットフォームや販売者だけではありません。
「ラストワンマイル物流」とよばれる、最終消費者の手元に届ける小口貨物の物流業者も、成長が見込める投資対象として注目されています。。
これは世界的なECの普及により、日本を含めた各国で競争が激しい分野です。

GHTKのWEBサイト (https://giaohangtietkiem.vn/)

現状は地場ベンチャー2強の争い

ベトナムではこの分野に50社が参入しています。参考までに、主なプレーヤーを紹介します。

GHNのWEBサイト (https://ghn.vn)

まず、挙げられるのが地場ベンチャーのGiaohangtietkiem (GHTK)。全国で11,000地区を網羅し63省・市で事業展開し、国内の事業センターは20カ所を超えてます。出資元は、Shopeeを展開するシンガポールの巨大テック企業「SEAグループ」と香港の物流大手「Kerry Logistics」です。また同社は今後、IPOを予定し、10億ドルを調達する計画を明らかにしています。
また、同じく地場ベンチャーのGiao Hang Nhanh(GHN)も、LAZADAやTIKI,SENDOなどECモール大手各社と提携し、大きなシェアを持っています。親会社であるScommerceは、シンガポールの国営投資会社テマセクから出資を受けています。GHNの関連会社で、速達サービスに特化しているAhamoveも人気です。
その他には、インドネシア発のJ&T Express、シンガポール発のNinja Vanもベトナムに進出しております。またShopeeの配送として、社内物流部門である Shopee Expressが存在感を持っています。

弊社のテスト販売でも製品発送にこの2社を使うことが多いのですが、配送料金の計算プラグインのAPI提供など、ユーザー側に配慮された使いやすいサービスだと考えております。

急がれる効率化、まだまだ発展余地あり

前述の通り、小売全体でニーズが急拡大しておりますが、まだまだ課題も多い状況です。
ベトナム全土に対応しているわけではないため、物流インフラ全体が未整備の領域とされています。都市部は整備されてきていますが、郊外には未対応の地域が多い状況です。本題とはズレますが、保冷小口配送がまだ行き届いていないことは食品系のメーカー、ディストリビューターにとっての懸念点です。
また、このニーズの拡大に各社の配送能力が追いついておりません。
とくに2022年10月現在の、世界的な原油高やガソリン供給不足など配送コストの負担増により、配送員が減っており、人員の確保にも課題があります。

ベトナムで販売を行う上で、このような物流事情の市場調査も不可欠です。たとえば、ベトナムでの小売通販は9割がキャッシュオンデリバリー(代引き)になるため、配送員に依る現金回収とクライアントへの売上の送金対応を行っています。

速達サービスのAha move

上記のような状況である同分野、今後も急成長は確実視されています。これにより、ベトナムのEC事情も活発化されることでしょう。

MAIインターナショナルでは、この様な変化の激しいベトナムEC業界の市場調査やテスト販売、戦略策定が可能です。
ぜひ、お気軽にお問合せ頂ければ幸いです。