どうなる、ベトナムの「グリーン消費」価格が壁か

この記事のポイント

  • グリーン消費は約80%が理解、認知は高水準
  • 常用は20%のみ、平均2.6/5点で「たまに」
  • 86%は5-10%上乗せまで、価格が最大の壁

結論:理解は進むが「価格」で止まる——ベトナムのグリーン消費は次の段階へ

本日は、ベトナムの生活に関するトピックを紹介します。

近年、ベトナムでも「環境にやさしい暮らし」への関心が少しずつ高まっています。少しづつではありますがスーパーでエコバッグを使う人や、プラスチック削減の動きも見られるようになりました。ただ、日本のように多くの人が積極的に選んでいるわけではなく、まだ発展途中の段階です。この記事では、そんなベトナムのサステナブル事情について、現地のリアルな様子をわかりやすくご紹介していきます。

ベトナムの「グリーン消費(tiêu dùng xanh)」は、理解・認知が約80%と高い一方で、常用は20%に留まります。つまり「良いことは分かるけど、日常の買い物では選ばれにくい」フェーズです。

このギャップを埋める鍵は、意識啓発よりも価格差の設計分かりやすい情報、そして買える場所(導線)の3点に集約されます。日本企業が環境配慮商品で勝ち筋を作るなら、まずはここを“実装”に落とし込む必要があります。

データで見る「製品xanh」購買の現状(ハノイ/ダナン/TP HCM/カントー調査)

理解80%でも常用20%に留まる:スコアは平均2.6/5点で「たまに」

4都市調査では、消費者の約80%が「グリーン消費(tiêu dùng xanh)」を環境配慮や健康、持続可能な生産と結びつけて理解していました。一方で常用は20%に留まり、利用頻度を示す平均スコアは5点満点で2.6点(=“たまに買う”程度)です。

現場感としても「自分から探しに行くほどではない」「同じ棚にあって価格が妥当なら検討する」という声があり、“nice to have”で止まる典型パターンが見えます。

上乗せ許容は5〜10%が中心:価格が最大の壁

価格面では、自然・有機製品に対して5〜10%までの上乗せなら許容という回答が多数派(86%)でした。個人の感覚としても、最大でも20%程度までという発言が見られます。

ここから言えるのは、コスト増をそのまま上乗せしてしまうと、購買頻度が上がりにくいということ。グリーン属性の訴求だけではなく、「支払いやすさ」を先に作るのが実務上の近道です。

参考:ベースとなるニュースはVnExpressの報道、消費者心理はPwCのベトナム消費者調査(2025)で補完できます。VnExpress記事(製品xanhは価格が壁)PwC「Khảo sát Người tiêu dùng 2025」PDF

「価格・情報・販路」3つの障壁を、企業の打ち手に翻訳する

1) 価格:転嫁ではなく“支払いやすさ”を作る(小分け・入口SKU・セット)

「上乗せ5〜10%が限界」という前提に立つと、勝負は“値付け”というより価格差の見せ方になります。例えば、原材料や燃料、輸送費などで原価が上がる構造があるなら、次のような工夫が効きます。

  • 小分け規格・トライアルサイズ:1回あたりの支払額を下げ、購入の心理ハードルを下げる
  • 入口SKUを作る:主力よりも「初回に買いやすい」商品を先に設計する
  • セット化:単品価格差ではなく“体験価値”で納得感を作る(例:詰め替え+ボトル等)

「グリーン化」を進めつつも、消費者の財布感覚に合わせて規格を調整する——この発想が、認知→常用の壁を越える第一歩です。

2) 情報:標準化・透明化で“信頼のショートカット”を作る

調査では情報不足も障壁に挙げられています。消費者は「環境配慮・健康・持続可能な製造工程」と結び付けて理解しているので、企業側はその判断軸に沿って説明の型を揃えるのが有効です。

  • 何がどう違うか(原材料・工程・廃棄/リサイクル)を1枚で説明
  • 第三者認証・検証がある場合は前面に(信頼の近道)
  • “環境に良い”だけで終わらせない:健康・使い勝手・耐久など生活者メリットをセットで

要は「良さそう」を「分かる」に変える作業です。ここが弱いと、結局は価格とプロモーションに負けます。

3) 販路:専門店依存から日常導線へ(TT/MT/ECの役割分担)

「日常の小売店で見当たらない」「専門店まで行くのが不便」という声がある以上、販路は“理念”ではなく接点設計の問題です。おすすめは、段階的に広げる考え方です。

  • MT(近代小売):試食・体験・棚の説明で理解を作る(認知の土台)
  • TT(伝統小売):回転と現金商売が前提。売れ筋SKUから配荷し、営業で店頭露出を積む
  • EC:ストーリーや比較を載せやすい。テスト販売で勝ち訴求を見つける

TT/MTの動かし方は、こちらも合わせてどうぞ:MT(モダントレード)でのマーケティングサポートTT(トラディショナルトレード)でのマーケティングサポート

「環境訴求」ではなく「生活者の納得設計」が勝負

PwCのベトナム消費者調査(2025)では、気候変動への不安が強い一方で、日々の購買では節約志向が優先されやすいことが示唆されています。つまり「気持ちは賛成」でも「財布はシビア」です。

この市場で勝つには、環境配慮=付加価値として語るだけでなく、次の形に落とし込むのが現実的です。

  • 価格差は5〜10%の現実を前提に、入口商品・小分け・セットで設計する
  • 情報は“型”で揃える(判断しやすさ=購入しやすさ)
  • 買える場所を増やす(日常導線に乗せる)。まずは強いカテゴリ・強い都市から

最近の国内製品イベントでも「原産地が明確」「品質」「環境配慮」がトレンドとして語られており、文脈自体は追い風です。関連動向:国産製品需要喚起の最新動向、商工省主導イベント

MAIの支援案:市場調査→テスト販売→販路拡大まで伴走

「グリーン商品を出す」だけでは、認知と常用のギャップは埋まりません。現地の価格受容性、勝ち訴求、買われる導線を小さく検証してから広げるのが安全です。

ベトナムでのサステナブル商品展開(食品・日用品・化粧品等)について、「どの都市・どのチャネルから始めるべきか」レベルから一緒に整理できます。

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