老舗缶詰メーカー、売上2,230億でも操業停止

この記事のポイント

  • Q4売上2,230億ドン(+41%)でも税前97億赤字
  • 在庫1,880億ドン(+27%)、原材料は46%の872億
  • 130トン汚染豚肉で1/12操業停止、再開時期は未定

Q4/2025は売上増でも赤字:何が起きたか

ベトナムの老舗食品加工・缶詰メーカーHalong Canfocoは、2025年Q4の連結決算で売上が伸びた一方、利益面では大きく崩れました。売上高は約2230億ドンまで増えていますが、売上原価が大きく増加し、粗利益は23.7億ドンまで低下しています。さらに管理費を中心に販管費が増え、結果として税前損益が赤字になりました。

操業停止は「納期が読めない」状態を生む

今回のポイントは、数字の悪化だけでなく操業停止により供給の見通しが立ちにくい点です。取引先の立場から見ると、納期遅延・欠品・仕様変更(代替原料への切替)などが連鎖しやすく、輸入計画や国内販売計画まで影響が及びます。短期は「いつ再開するか分からない」を前提に、調達と販売の両方で安全側の設計が必要です。

在庫1880億ドンの意味:原材料比率46%をどう読むか

期末在庫が1880億ドンまで積み上がり、そのうち原材料が46%を占める点は、単なる運転資金の問題にとどまりません。原材料の保管・温度管理・入出庫管理が弱いと、品質事故(異物・腐敗・汚染など)と結びつきやすくなります。今回のような事案が起きると、再発防止のための是正措置に時間がかかり、操業再開が遅れるリスクも高まります。

売上が伸びても原価が急増すると、企業側は利益確保のために価格改定や最小ロットの引き上げ、支払条件の変更を求めやすくなります。調達側は、単価交渉だけでなく、品質条件・納期条件・ペナルティ/SLAも含めて「どこを固定し、どこを変動にするか」を整理しておくと運用が安定します。

企業概要と開示情報:1957年創業、2021年上場(CAN)

Halong Canfocoは1957年にハイフォンで設立され、2021年にHNXへ上場(銘柄CAN)しています。主工場はハイフォン市(71 Lê Lai, Ngô Quyền)にあり、敷地は約57,100m2、食品・水産加工で年4,440トンの能力を持つと開示されています。製品はソーセージ、食肉缶、蓮の実缶詰、野菜・果物缶詰、チャーゾー、魚缶などで、国内向けと輸出向けを想定しています。

加えて、ダナンとドンタップにも生産拠点があるとされます。上場企業の場合、売上・利益・在庫の推移や注記情報が追えるため、取引先モニタリングに「使えるデータ」がある点は実務上のメリットです。

調達・販売計画の「前提」を更新する

代替調達とBCPを“紙”で終わらせない

操業停止のような事象が起きたとき、代替調達先の候補があっても、規格・認証・輸出書類・冷蔵冷凍の物流条件が合わずに切替が進まないケースがよくあります。ベトナムではインフラ改善で物流KPIの前提が変わることもあり、BCPは年1回の見直しではなく、ルート・温度管理・リードタイムを含めた更新が必要です。

関連情報として、物流インフラ整備が水産のサプライチェーン設計に与える影響は、こちらでも整理しています:高速が全線開通、カマウ産エビの物流コスト減に期待も

与信・継続判断は「開示情報×現場情報」で組む

通期では税前黒字を確保していても、直近四半期で赤字が出ると資金繰りや支払条件に影響が出る可能性があります。上場企業の開示情報(売上、粗利、販管費、在庫)を定点観測しつつ、現場では操業状況・是正措置の進捗・主要原材料の調達状況を確認する、という二段構えが現実的です。

食品安全の“風向き”は強まっている:制度面の背景

ベトナムでは近年、偽装・不正表示や品質問題が繰り返し報道され、行政側も食品安全の管理強化を進めています。規制や運用は分野ごとに揺れがあるため、調達側は「相手先の工場だけ」ではなく、当局動向・監督強化のテーマも踏まえたリスク設計が必要です。制度面の動きは、こちらの記事でまとめています:ベトナムにおける食の安全性強化の動き

MAIの支援案:調達先探索〜監査設計、販路・チャネルまで

MAI Internationalでは、ベトナム現地での調達・販売を「動く計画」に落とし込む支援が可能です。たとえば、代替サプライヤーの探索(候補リストアップ〜一次評価)、品質監査のチェックリスト設計、輸出入要件の整理、TT/MT・ECを含む販路設計まで、実務に合わせて伴走します。

操業停止のような供給ショックは、調達だけでなく販売計画やチャネル戦略にも波及します。「どのチャネルで、どのSKUを、どの在庫水準で回すか」まで含めて、現実的な再設計をご一緒します。

引用元:Đồ hộp Hạ Long lỗ trở lại quý cuối 2025(VnExpress)

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