高速が全線開通、カマウ産エビの物流コスト減に期待も

この記事のポイント

  • 1月19日11時、ハウザン〜カマウ73kmが正式供用開始
  • 73km開通でカントー〜カマウ高速が全線接続し移動が円滑化
  • 効果を最大化する鍵は休憩施設と安全運用の徹底

ĐBSCLの高速道路73km供用開始で「カントー〜カマウ高速」が全線接続

2026年1月19日11時、ハウザン〜カマウ区間(約73km)が正式に供用開始となり、カントー〜カマウ高速が全線でつながりました。これにより、メコンデルタ(ĐBSCL)を縦に貫く幹線が連続し、移動の円滑化と物流時間の短縮が期待されています。実際、国道1号線(QL1)の渋滞負荷が軽くなることや、観光需要の増加を見込む声も出ています。

物流コスト低下が現実味:水産(カマウ産エビ)・農産のサプライチェーン再設計へ

今回の開通で最も分かりやすい効果は、物流時間の短縮によるコスト低下です。現地では「港や空港までの所要時間が短くなれば、水産・農産の競争力が上がる」という見方が示されています。特に水産では、カマウ産エビなどが“輸送費の重さ”を長年の課題として語られてきました。単に道路ができるだけでなく、港湾・空港アクセス、集荷〜加工〜輸出のつなぎ方を再設計できる企業ほどメリットを取り込みやすくなります。

「時間短縮」をKPI化する(港・空港・加工拠点をセットで見る)

企業の実務で重要なのは、「早くなった(体感)」をKPIに落とすことです。たとえば、調達先(産地)から加工拠点、港・空港までのリードタイムを区間ごとに分解し、トラック手配・積替え・待機時間を含めた実測値で管理します。報道ベースではQL1利用時と比べ所要時間が大きく変わったというドライバーコメントもあり、まずは自社ルートでの実測・検証が第一歩になります。

加えて、インフラ整備はFDI・工業団地の立地判断にも波及します。近年のベトナムでは「道路・港湾・物流インフラの整備」と「投資分散」が同時進行しており、拠点戦略を再点検するタイミングです。参考として、投資環境の全体像は過去5年で最高水準のFDI流入|2025年のベトナム投資環境と…も併せてご覧ください。

産地側の勝ち筋:冷蔵・保冷、集荷網、品質KPIまで一体で

水産・農産は「時間短縮」だけでなく、「品質劣化リスクの低下」も効きます。一方で、輸送が速くなっても、コールドチェーン(冷蔵・冷凍)や集荷網が追いつかなければ、競争力は伸び切りません。日本企業側は、①3PL/運送会社の温度管理、②積替え拠点の設計、③繁忙期の車両確保、④クレーム率(破損・温度逸脱)をセットでKPI化すると意思決定が早くなります。地域理解の入口として、メコンデルタの立地感は“メコンデルタの入口”ベンチェ省の様子も参考になります。

運用課題:休憩施設不足と交通マナーが“使える高速”かを左右する

現地の論点として多いのが、「道路ができても運用が弱いと価値が出ない」という指摘です。特に、トイレや食事を含む休憩施設(サービスエリア等)の不足は、利便性だけでなく安全面のリスクになります。また、新しい高速で二輪車の進入、住民による柵(フェンス)の撤去といった事例が語られており、啓発と取り締まりを最初から徹底すべきだという声も出ています。

休憩施設=安全インフラ(長距離運転の事故リスクを下げる)

休憩施設は「便利だから必要」ではなく、疲労運転を減らすための安全インフラです。とくに物流車両は運行計画がタイトになりがちで、休憩導線が弱いと無理な運転が増えます。荷主側も「ドライバー休憩の前提」を運行計画に組み込み、到着時刻だけで評価しない運用に変えることが重要です。

初期運用は“規律づくりの黄金期”:入口管理・監視・罰則の徹底

交通秩序は、運用開始直後に形が決まります。実際、当局が検査・監視を強化すべきだという意見があり、「最初に厳しく運用すれば悪い習慣が定着しにくい」という考え方が示されています。企業としては、事故・通行規制・遅延のリスクを前提に、代替ルート(QL1等)を含むBCP(事業継続計画)を更新しておくと安心です。

QL1依存から高速活用へ、物流KPIとリスク管理を同時に更新

今回の全線接続は、「移動が楽になる」だけでなく、サプライチェーン設計の前提を変える出来事です。水産・農産のように時間品質の影響が大きい商材ほど、輸送リードタイムの短縮が利益に直結します。その一方で、休憩施設・安全運用・入口管理などの運用要素が弱いと、期待した効果が出にくい点は押さえておくべきです。

まず見直すべきチェックリスト(調達・3PL・在庫・BCP)

  • 物流KPIの再設定:区間別リードタイム、待機時間、温度逸脱率、破損率、遅延率
  • 3PL/運送の再評価:高速ルート前提の配車力、繁忙期の車両確保、ドライバー休憩設計
  • 在庫戦略:短縮分を“在庫圧縮”に使うのか、“鮮度・欠品対策”に使うのか方針化
  • リスク管理:事故・通行止め・規制時の代替ルート、連絡網、顧客向けSLAの見直し

また、インフラと投資・産業集積は連動します。物流・港湾サービスが伸びる地域の見方は、クアンニンとハイフォンが急伸、統計局が地域の総生産発表も参考になります。


ベトナム市場への進出・マーケティングに関するご相談

MAI International では市場調査、TT/MTチャネル開拓、EC・デジタルマーケティング、現地法人設立支援などを提供しています。ベトナム展開やチャネル戦略を相談したい方は下記よりお問い合わせください。

お問い合わせフォームへ

※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・運用(通行規制・料金徴収の開始時期等)は必ず関係当局や専門家にご確認ください。