― 2026年1月1日施行、企業・個人が留意すべきポイントとは?―

スマートフォンが浸透し、オンライン広告やSNSの影響力が拡大している

2025年6月16日、ベトナム国会は「改正広告法(75/2025/QH15)」を正式に可決しました。これにより、2012年に制定された旧広告法(16/2012/QH13)に対する大幅な修正がなされ、2026年1月1日より施行されます。
今回の改正では、デジタル広告やインフルエンサーによる広告行為の増加を背景に、オンライン広告の表示義務や媒体提供者の責任強化など、多数の規定が追加・見直されています。
以下、企業や広告関係者が特に注目すべきポイントをまとめます。

■1.「広告の定義」と「対象主体」の明確化
  ・「広告」、「広告促進行為」、「広告配信者(媒体提供者)」などの用語定義を拡張
  ・「越境広告サービス」も定義され、海外からの広告配信者にも適用対象となる可能性
  ・「広告物体(例:バルーン、車体広告など)」も対象に追加
  ☑対象拡大により、インフルエンサーやSNS運営者、YouTube動画制作者も明確に法適用対象へ

■2.広告契約の義務化
  ・広告主・代理店・配信媒体者の間での広告契約書の締結が義務に
  ・書面により当事者の責任範囲や情報提供義務を明確化
  ☑今後、契約の有無が行政トラブル時の争点になり得るため、正式な契約締結が不可欠

■3.広告コンテンツ規制の強化
  ・虚偽表示・誤認表現・根拠なき比較広告の禁止
  ・医薬品・化粧品・農薬などは許可証の提示が必須
  ・必要に応じて警告・注意表示の明記も義務化
  ☑比較広告や健康訴求を行う場合は、表示根拠と認可文書の確認が重要

■4.ネット広告規制の明文化
  ・広告であることを明確に表示(文章・音声・画像・記号など)
  ・スクロール型広告やポップアップ型広告には:
閉じるボタン
不適切広告の通報機能
ユーザーによるオフ設定機能が必須
  ・広告リンク先の内容についても広告主・配信者が法的責任を負う
  ・SNS運営者は、広告と通常投稿の識別機能を搭載する義務
  ☑ユーザー保護・透明性を重視した仕様を整備しないと違法広告と見なされる可能性あり

■5.インフルエンサーの責任強化
  ・商品やサービスを広告する場合:
広告主・製品の合法性・信頼性を事前確認する義務
自身の投稿が「広告」であることを事前・事後に明示する義務
根拠なき紹介、体験談を装った広告は処罰対象に
  ☑ステルスマーケティング(ステマ)や曖昧なPR投稿は今後、明確に違法行為と見なされる方向へ

■6.屋外広告・マスメディア広告の制限
  ・新聞・雑誌:広告面積はそれぞれ30%、40%まで
  ・TV・ラジオ:無料放送は広告時間10%、有料放送は5%まで
  ・屋外デジタル看板:音声使用禁止、安全性チェック義務などを規定
  ☑街頭広告・電子サイネージを活用する企業も、今後は定期点検・安全管理が法的責任となる

■7.行政処分と移行措置
  ・違反者には、行政処分・罰金・営業停止・刑事責任が科される
  ・正当な根拠なしに当局からの是正命令を受けた場合の「賠償請求権」も整備
  ・旧法に基づいて設置済みの広告物については、一定条件で継続可(移行規定あり)
  ☑法律リスクへの対応策を整えておくことが、企業防衛につながる

まとめ:広告行為が「商行為」である以上、法令遵守が不可欠に

今回の「改正広告法」は、単なる形式規制ではなく、消費者保護・広告信頼性の担保・公正競争の確保を狙いとしています。とりわけデジタル広告やインフルエンサー活用が進むなか、法令に抵触するリスクは企業・個人ともに無視できません。
施行日である2026年1月1日までに、広告契約書・広告表示・表示根拠・SNS運用の見直しを徹底することが求められます。

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