タイ52.16%、マレーシア77.70%、ベトナムは38.05%

ベトナム北部2号店となるAEON MALL Ha Dong

ベトナムの米輸出が拡大しているというニュースが国内で報道されています。

ベトナムは、東南アジアで際立つ農産国として、米の輸出に力を入れていおり、2023年の8か月間で、米の輸出量は過去最高の約600万トンに達しました。昨年と比べて20%も増えています。税関のデータによると、この期間の米輸出の総額は約32億ドルであり、34%も上昇しています。ベトナム産の米を多く輸入している国はフィリピン、中国、インドネシアであり、それぞれ前年同期比で3%から1500%近くも増加しています。ベトナム国内では、自国内で米供給が不足するのではないかという心配もでています。
農産国として存在感を見せる一方で、ベトナムでは、経済発展に伴って都市化が進んでいます。

ベトナムは、アジアの中でも特に経済成長が著しい国の一つです。その背景には、都市化が大きな役割を果たしています。都市化とは、人口や産業が都市部に集中することで、都市型の生活様式や文化が形成されることです。都市化は、経済発展や社会変革を促進するとともに、多様なビジネス機会を創出する可能性を秘めています。

ドイツ系の統計プラットフォームSTATISTAによると、ベトナムの都市化率は、2021年に38.05%に達しました。これは、2011年の31.08%から7%も上昇したことを意味します。しかし、タイの52.16%(2021年)やマレーシアの77.70%(2021年)と比較すると比較すると低い水準です。東南アジア各国は都市化が進みやすいと考えられており、ベトナムでも同様です。ベトナムの国土の3分の2近くは依然として農村部であり、農業への投資が高い状況です。一方で、サービス業や工業部門が発展する都市部への移住が増えています。これは、都市部でより高い収入や生活水準を得ることができるという期待があるからだと考えられています。

GRABやSHOPEEなど、社会変化で創出されていくビジネス機会も

特にベトナム最大都市のホーチミン市では、さまざまな取り組みが行われています。例えば、初となる都市鉄道計画では、日本企業が主導する巨大プロジェクトが進められています。このプロジェクトは、交通渋滞や環境汚染などの社会問題を解決し、人々の移動や生活を快適にすることを目指しています。現在は計画決定から15年、着工から10年が経過し、2024年半ばの運転開始を目指しています。

また、ホーチミン市では、「スマートシティ建設」にも取り組んでいます。これは、情報技術などを活用して、人々の生活の質向上や新たなビジネス機会創出を目指すものです。GRABなどのライドシェアやLalamoveなどの小口配送サービス、SHOPEEやHARAVANなどのEコマースなどの新興企業が活発に活動しており、都市部での需要やニーズに応えたマーケティングを行っています。これらのビジネスは、都市化に伴う課題やリスクをチャンスに変えることができると考えられます。

交通渋滞と環境汚染の軽減を目的に公共交通機関の改善と道路交通管理の強化を進め、2030年からハノイ市やホーチミン市など5つの中央直轄市での中心部のバイク乗り入れを禁止するという計画があります。いまのような明確な“バイク社会”の実情からすると、乗り入れ禁止というのはなかなか想像できません。実現性は不透明なものの、注目されている取り組みです。

このように、ベトナムでは都市化が進む潜在性があります。そして、その都市化は新たなビジネス機会を創出する可能性があります。

都市化が進んでいるタイの首都バンコクのショッピングモール

その一方で、社会問題への対応も必要です。効率化の一方で、都市への過剰な一極集中は、日本国内でも論じられているように、地域格差や公害・災害など有事やリスクを秘めているためです。ベトナムは今後どのように都市化を推進していくのでしょうか。私たちはその動向に注目していきたいと思います。

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