【増え続ける日本食レストラン】

昨今、ベトナムでは日本食ブームが起こっていると言っても過言ではなく、多くの日本食レストランが開業しています。

初めてベトナムに来た、2006年当時、ホーチミン市に日本食レストランは20~30軒くらいしかなかったと記憶しておりますが、現在では何軒くらいあるのか簡単に調べてみました。

レストランのレビューサイト大手、FOODYで「日本食」というキーワードで検索して何軒出てくるかという方法を取りました。

その結果、ホーチミン市:1,319軒、ハノイ市:599軒、ダナン市:147軒となり、この三大都市だけで、合計2,065軒となりました。

もちろん、「日本食レストランではないレストランも引っかかる。」「登録していないレストランもある。」という点を考慮しても、三大都市の周辺省を入れればやはり2,000軒以上にはなっていると思います。

 

【同社ウェブサイト】

弊社は、JETROホーチミン事務所の農林水産部門コーディネーターや、複数の地方自治体のコーディネーターを行っておりますので、日本からの日本食材拡販に関するご相談を多く受けておりますが、その中で、「開示登録」のご質問が多い為、本日はその中でも「加工食品」に関して、簡単にご説明させて頂きます。

食品には、青果物や海産物、肉類、健康食品等も含まれておりますので、それらは後日、ご説明をさせて頂ければと考えております。

【加工食品の開示登録手続きとは?】

開示登録手続きとは、ベトナム側が開示が必要な製品を輸入する際、法令上禁止されている成分等が含まれていない事を開示する事を目的とした、「食品安全適合に関する開示」という事です。

この内、包装された加工後の食品、食品添加物、食品加工助剤、食品の容器、食品を直接 包む包装材に対しては、「自己開示手続き」を行う事ができる事となっています。(政令 No.15/2018/ND-CP 第4条1項に記載。)

【開示登録手続きは誰がやる?】

開示登録手続きは、前述したように、ベトナム側の輸入者が行うものなので、日本側の輸出者は開示登録に必要な書類やサンプルをベトナム側に提供するという立場です。

要するに、日本から加工食品を輸出販売する際は、まずディストリビューターを見つける必要があるという事です。

ディストリビューターと商談を行い、取引条件が合意してから、実際の輸入前に開示登録手続きを行うという流れになります。

【自己開示手続きの必要書類は?】

① 所定の書式の商品自己公表書(ベトナム側が準備します。)

② 食品安全性試験の結果(12ヵ月以内に実施されたもの。)

これらの書類をマスメディアまたは自社ウェブサイト等で公表し、かつ保健省食品安全局に対して直接届ける、あるいは郵便で送付します。

【加工食品開示登録に関する留意点は?】

◆分析用のサンプルが必要

開示登録手続きを行う際には、管轄当局により指定された検査機関もしくは、ISO17025に準拠していると認定された検査機関において、「食品安全性試験」を受ける必要があります。

「食品安全性試験」とは、いわゆる成分分析試験であり、必要な分析用サンプル料の目安として、液体物であれば700ml、粉末状は300g程度ですが、製品により必要サンプル量は異なるので、現地パートナーとなるディストリビューターに必要量を予め確認する事をお勧めします。

◆検疫対象製品もある

日本の農林水産省に相当する、農業農村開発省が発行した通達No.25/2016/TT-BNNPTNT(陸生動物由来製品の動物検疫について)の付録Iに規定されている検疫の対象となる動物・動物製品のリストに記載されている動物製品、同じく農業農村開発省の通達 No.26/2016/TT-BNNPTNT(水生動物由来製品の動物検疫について)の 付録 I に規定されている検疫の対象となる水産物・水産物製品に関しては、輸入前に検疫を受ける必要がありますのでご注意ください。

最終加工施設の事前登録や衛生証明書が必要製品もある

水産物・水産物加工品は、最終加工施設登録・証明書の発行が必要になる為、各都道府県で事前登録が必要、また食鳥肉や牛・豚肉も、「対ベトナム輸出食肉取扱い施設の登録」および「食肉衛生証明書」の発行手続きが必要になるのでご注意ください。

◆開示登録を1回やれば、複数のディストリビューターへ輸出できる?

開示登録に関してですが、1つの輸入者に対して、1つの開示が必要になります。

例えば、同時に複数のディストリビューターと取引を行いたいという場合、複数の開示登録が必要となるという事です。

◆開示登録に関する費用はどのくらい?誰が払う?

これは、食品安全性試験の費用も含めて、一般的な金額を言うと、300USD/1SKU程度の事が多いです。

ディストリビューターの中で慣れている会社の場合、自社で申請を行うので、これよりも安くなる場合がありますが、中小企業で慣れていない場合は、開示登録をサポートしてくれる会社のサービスを使うので、この金額よりも高くなるという事もあります。

費用負担に関しては、会社や製品により異なりますが、日本側が費用を負担し、ベトナム側が手続きを行うという事も多くなっています。

ディストリビューターが負担する場合、どうしてもその金額を商品原価に入れなければならないので、販売価格が高くなってしまうので、新規商品はなるべく多くの人に手に取ってもらいたいと考え、日本側が負担するという考え方もある為です。

その為、ディストリビューターを選定する際には、なるべく複数の候補企業と同時に商談を進めていき、その際に開示登録に関する費用や考え方を聞取りし比較するという方法が望ましいのではないかと思います。

ベトナムへ輸出販売を行う際、加工食品の様に、開示登録手続きが必要な製品が色々と存在します。

これらを事前に調べておくことで、実際にディストリビューター候補企業と商談をした際、スムーズに話が進む為、時間の短縮につながります。

また、ベトナム側からしても、ベトナム市場をよく理解したサプライヤーと取引をした方が安心感がある為、好印象となります。

もちろん、輸出販売にはこれ以外にマーケティング関連など様々なポイントが存在し、それらに対するベトナム企業の考え方を事前によく理解した上で、パートナー企業選定を行った方が、効率が良くなりますし、ビジネスとしての発展性も高くなるのではと思います。

「自分たちが考えていた以上にベトナム企業からの要求レベルが高く対応ができないので、他の国への輸出を検討しよう。」となる事もありますが、もっと可能性のある市場を選定してそこに投資をしていくというのは企業として当然の判断だと思いますので、僭越ですが、それを知る事ができたという事も財産になると思います。

ベトナムへの「加工食品輸出販売」、「商品開発」等をお考えの際は、ぜひベトナム市場でのビジネスマッチング、市場調査の経験豊富なMAI Internationalまでお気軽にお問合せください。