2018年のベトナムの製薬業界の市場規模は59億USDに達し、前年比で11.5%の増加となったとBMIリサーチ社が発表しました。近年、ベトナムの製薬市場は大きなものになりつつあり、製薬業界成長率では東南アジアで2番目であり、世界でも上位17か国の1つという結果になりました。しかしながらベトナム国内で生産されている医薬品はまだ限定的であり、国内需要の52.5%しか満たしておらず、残りは海外から輸入する必要がある状況です。

保健省医薬品管理局の統計によると、2019年5月16日の時点で、ベトナムには医薬品を製造する約180社の企業とGMP認定を受けた224の工場がありますが、国内の製薬工場では主に単純な剤形、機能性食品、ジェネリック医薬品などを製造しているとの事でした。

また、医薬品流通の構成は、医療用医薬品(ETC)が約70%で、一般用医薬品(OTC)は約30%となっており、特に一般用医薬品は全国に約57,000店舗あるといわれるOTC薬局や、昨今成長の著しいドラッグストアなどで販売されています。医療用医薬品のシェアが高い理由としては、ベトナム政府の医療保険政策により医療保険加入者の割合が上がっているという事が第一に上げられこれは将来的にも継続して増加している傾向と言えます。第二に私立病院の増加により使用される治療薬も増加しているという事が言えます。第三は経済成長により人々に健康意識が芽生え、以前よりも病院に通う人が増えているという事が言えます。

以前、別のブログに指標を記載しましたが、ベトナムは今後急速な高齢化社会を迎えるといわれている国の一つである為、好調な経済成長による収入増を背景に健康に気を配る人が増えているといわれています。そのため、今後もベトナムの製薬業界は世界で最も安定した成長を続ける20ヵ国の一つであり続けるといわれており、ある調査会社によると、2021年までに市場規模は77億USD、2026年には161億USDに達し平均成長率は11%となる事が予測されています。

その中で、一般医薬品(OTC)は昨今、最も注目されている分野と言えます。

市場規模は年率11%で成長していくにも関わらず、現在の一般医薬品販売市場は全くブランド化されていない個々の薬局がほとんどであり、多くの企業がここに注目をしておりチェーン化を進めている状況です。ベトナムで最も多く店舗展開しているドラッグストアチェーンはPharmacityという企業で全国に396店舗(2020年7月現在)を展開しています。この企業は2012年に、ベトナムの金融業界で働いていたクリストファー・ランディー・ストロード氏(母方の祖母がベトナム人、母方の祖父はフランス人で、父はアメリカ人)が設立した企業で、2020年には3200万USDの資金調達に成功し、2021年度中には全国で1000店舗を展開する計画を持っていると各新聞で報道されました。

また、国営の大手ITサービス企業であるFTP社が展開するLong Chau Pharmacy(134店舗)や、携帯電話・家電販売大手小売りチェーンのモバイルワールド社、デジタル関連の大手ディストリビューターであるデジワールド社が展開するAn Khang Pharmacy(20店舗)などの異業種がこのチャネルに参入しており、かつGuardian(99店舗)等の外資系ドラッグストアも店舗数を伸ばしつつあり急速に市場が活性化しています。また日系ではマツモトキヨシが進出を決めています。

既存OTC薬局のほとんどは狭い店舗にカウンターがあるだけであまり多くの商品を陳列できず、高額な健康食品や化粧品などを置く店もごく一部に限られていますが、今後、チェーン化が進む事により、それらを販売する店舗数が確実に増えていくと思われます。

               ベトナムにある一般的なOTC薬局

日本には多くの大衆薬メーカーがあるのでドラッグストアでは多種多様な一般医薬品を購入する事ができ消費者はドラッグストアに行くと商品を選ぶ楽しさを感じる事ができると思います。筆者も日本に帰る時は必ずドラッグストアに行っていますが楽しくてついつい長居をして色々な物を買ってしまいます。一方ベトナムのOTCチャネルはまだ未成熟であり一般医薬品が十分にそろっているとは言えない状況の為、買い物をする時に前述した楽しみを感じる事があまりありません。ベトナムのOTC薬局がチェーン化する動きに合わせて、日本の大衆薬もベトナム市場で展開できるようになれば面白いのではと考えています。

ベトナム市場向けに医薬品を輸出販売する際は、ACTD(ASEAN Common Technical Dossier)様式に従って申請書類を準備する必要があります。要求される書類の中で長期保存安定性試験のデータがありますが、30℃±2℃75%RH±5%Rの条件で3年間の為、日本企業はこの部分で躓く事が多いですが、ACTDはアセアンの基準である為、アセアン諸国へ販売する場合は必ずこのデータが必要になる為、あらかじめ準備をされておくことをお勧めします。

MAI INTERNATIONALでは複数の医薬品メーカーとの取引実績があり輸入調査、店頭調査、競合調査、市場規模調査など様々な市場調査や、販売先となるディストリビューターとのビジネスマッチングを行っております。ベトナム市場へ医薬品を展開される際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。