ベトナム市場は約80%が伝統的小売市場(トラディショナルトレード)、残り20%が近代的小売市場(モダントレード)と言われておりますが、これは全国平均でありホーチミン市やハノイ市などの大都市圏ではこの比率は異なり、ホーチミン市でいうと50:50に近付いているという意見も聞かれます。

しかし、依然としてトラディショナルトレードの存在感は大きくベトナム市場で商品展開を行う際は、その攻略が重要と言われています。では、トラディショナルトレード(以下、TT)の店頭では果たしてどの様な製品が販売されており、店主の仕入動機はどのようなものなのでしょうか。

日本から来られる方は、TTでは「安いもの」「ノンブランド製品(有名でない物)」「ベトナム製品」が多いとお考えの方が多いと思いますが、「安いもの」「ベトナム製品」に関してはその通りであると思いますが、「ノンブランド製品(有名でない物)」に関しては、違った見方もあると思います。

この画像ではなかなかわかり辛いかも知れませんが、これはダナン市内にある市場内のTTでどのような洗濯用洗剤が販売されているかを調査したファイルで、販売されている商品はユニリーバ社の「OMO」、ライオン社の「Essence」、その他の店舗も花王、P&Gなど有名なブランドの製品がほとんどを占めており、ノンブランド製品は販売されていませんでした。

どうしてこのような品揃えになるのでしょう?理由は、TT店主の購買動機を調べると何となくわかってきます。

卸売りを行うディストリビューターやメーカーとTT店舗との取引条件は現金取引が一般的ですが、TT店舗は規模の大きなものは多くなく、潤沢に現金を持っていない為、売れない製品在庫を持つとすぐにキャッシュフローが悪化してしまいます。その為、店主はすぐにセルアウトできるコンサバな製品を中心に品揃えを行おうと考えます。要するに新しく市場に投入されたばかりのブランドや無名のブランド製品では、セルアウトできるかどうかわからないのでなるべく誰でも知っている有名なブランドの製品ばかりを買ってしまうという事になります。

もちろん、TTの中にも色々なタイプがあり、販売力に自信を持っており新商品も積極的に購入してくれるような店舗もありますが、大多数は前述したようなコンサバな品揃えである為、新たにベトナム市場に投入するブランド・製品をいきなりTTで積極的に展開するという場合は本当に大変です。

新規ブランド・製品をTT店舗へセルインする為には、オマケを付けたり、割引販売などのプロモーションを積極的に行えば、ある程度のTTへセルインする事は可能ではないかと思いますが、TTへ買い物へ来る消費者へのセルアウトが問題になる可能性があります。

ベトナム人の買い物パターンは、モダントレード(以下、MT)では滞在時間を長く取りゆっくりと商品を吟味するという人が多いようですが、TTで買い物をする場合、かなり短い時間(ある調査会社の調べでは平均的に約90秒程度)で終わっているようで、「店主がおすすめしている商品」や「いつも買っている商品」を素早く購入して帰る人が多い為、新ブランド・製品はなかなかセルアウトが進まないという傾向があります。

セルイン後、セルアウトできないと市場に商品が滞留してしまい処分販売が始まる可能性が高く、せっかく苦労して投入した製品もこのような事態に陥るとブランド・製品イメージが傷ついてしまう恐れがあり、無理に製品を押し込むのはあまりお勧めできません。

これらはあくまで一般的な事を述べているのみで、全ての製品に当てはまる訳ではありませんが、ベトナム市場へ製品投入を行う場合、まずMT・TTの店頭をよく調査され、ディストリビューターや販売店、消費者へインタビューを行い分析した上で、販売計画や商品戦略を策定されることをお勧めします。