1986年のベトナム共産党第6回党大会で提起されたスローガンであるドイモイ(刷新)政策の下での経済的および政治的改革により急速な経済成長に拍車をかけ、当時世界で最も貧しい国の一つであったベトナムを中低所得国にまで成長し、2002年から2018年の間に、4,500万人以上が貧困から抜け出す事に成功し、貧困率は70%以上から6%まで低下、1人あたりのGDPは2.5倍に増加し、2018年には2,500米ドルを突破しました

順調な経済成長を背景に個人消費の伸びも注目されており、イギリスの市場調査会社であるユーロモニターによると、2019年~2030年の間にベトナムのGDPは91.4%増加すると予想されており、これにともない消費支出も増加し、都市部人口4600万人の消費支出は、2030年までに1690億USD、農村部人口6100万人の消費支出は1730億USDにそれぞれ増加、また、2030 年には全世帯の49%が中間層となり、1世帯当たりの年間可処分所得が5,000~15,000USDと、2018 年比33.8%増加が予想されています。

ベトナムは、2007年1月11日よりWTOに加盟し、加盟時の公約により、WTOサービス分類の12の分野中11の分野、155の小分野中110の小分野について既に開放を行いました。特に、サービス分野は2009年1月1日より外資100%での小売業参入、2015年1月より外資100%での飲食店設立が認められるようになるなど、旺盛な個人消費の伸びと他国と比較して進出しやすい法規制を背景に、近年外資系企業の進出が相次いでいます。

筆者が初めてベトナムに来た2006年当時は、まだWTO加盟以前であった為、多くの分野に規制が残っていました。そのため、外資系企業はベトナム人の名義人を立ててローカル資本での会社設立を行う事も多かったのですが、この仕組みではあくまで会社の名義人はそのベトナム人であり、出資ではなく貸付という形式になるため、うまくいかない事も多くありました。

現在では、多くの分野が外資系企業に対して解放されており、100%外資で設立できる業種が多いので、ローカルパートナーに気兼ねせずにビジネスを行う事ができるようになりましたが、進出しやすくなった分、競合企業も既に多く進出している状況なので進出前に様々な市場調査を行う事をお勧めします。

ベトナムに何度かご出張に来られて市場視察をされた際に、感じられた事が実際正しいのかどうかを検討する事は大きな意味を持ちます。

例えば、ベトナムには多くのベーカリーチェーン(特に韓国系が目立つ)が進出しており多店舗展開しており、多くの商業施設やホーチミン市・ハノイ市の目抜き通りで路面店を展開している所を見ると、「ベーカリーチェーンは売れている。」と思われると思いますが、実際はどうなのでしょう。

大都市圏では不動産価格が高騰している為、物件レンタル費用も非常に高いものになっており、人件費も年々高騰しています。

一方で、ベーカリー製品の販売価格はベトナムの伝統的なパンである「バインミー」が安く販売されており、かつ多くの競合企業が既に進出している為、あまり高い売価を付けると全く売れない可能性もあります。また、他社や「バインミー」との差別化やブランディングを行う為、SNSを代表とする様々なマーケティング活動を行わなければならない為、多くの経費が掛かります。

弊社では、様々な市場調査を提供しており、多くのFS調査を実施した経験がございます。

ベトナムで事業をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。