この記事のポイント
- カントー人民委員会で懸念コメント
- 1年間国際線なし、今後の乗り継ぎ需要は
- 日本や韓国へ促進目的とした派遣団を予定
ベトナムでは国際線の拡充が進んできていますが、懸念点も生まれてきております。地場メディアに関連記事がありましたのでご紹介します。
「国際空港なのに国際線がない」カントー市トップが強い懸念
カントー国際空港で長年にわたり定期国際便が運航されていないことについて、カントー市人民委員会のチュオン・カン・トゥエン委員長は、地元住民も非常に懸念していると述べました。特に、国際空港でありながら1年間にわたり国際便が全く運航されていない状況について、「非常に残念だ」と強い問題意識を示しています。
2026年5月14日午後、カントー市人民委員会はベトナム空港公社(ACV)と会合を開き、カントー国際空港を発着する航空路線の新たな方向性と、既存路線の維持について協議しました。会合では、国際線の再開だけでなく、国内線の拡充や航空物流の活用も重要なテーマとなりました。
ACVはカントー空港を「地域の航空ハブ」と位置づけ
ACVの担当者によると、同社はカントー国際空港を含む9つの国際空港を管理しています。カントー空港はメコンデルタ地域の航空ハブとして位置づけられていますが、現状では定期国際便が再開されておらず、旅客数も完全には回復していません。
一方で、カントーを訪れる外国人観光客数はすでに新型コロナウイルス流行前の水準を上回っているとされています。つまり、地域としての観光需要は戻りつつあるものの、その需要がカントー国際空港の国際線利用には十分につながっていない状況です。
重点接続先は韓国、マレーシア、タイ、日本、中国、台湾
ACVは今後、カントー空港の運営能力を高めるため、国際線・国内線ともに直行便を増やすことを目標に掲げています。特に接続強化の対象として、韓国、マレーシア、タイ、日本、中国、台湾が挙げられています。
新型コロナウイルス流行前には、カントー空港からマレーシアやタイへの直行便が運航されていました。ACVとしては、こうした過去に実績のある路線を含め、国際線再開の可能性を探っているとみられます。
ACV副総局長「航空会社・旅行会社・海外パートナーとの連携が必要」
ACVのグエン・カオ・クオン副総局長は、カントーへの国際線を再開するためには、航空会社、旅行代理店、国際的なパートナーとの直接的なコミュニケーションを強化する必要があるとの考えを示しました。
この発言からは、単に空港設備が整っているだけでは国際線は戻らず、航空会社が採算を見込めるだけの送客体制や販売網、観光商品の設計が必要であることが読み取れます。カントー空港の課題は、空港インフラそのものよりも、国際線を支える需要づくりと関係者間の連携にあるといえます。
中国人チャーター観光客の取り込みにも言及
クオン副総局長は、中国人観光客によるチャーター便市場が非常に大きく、現在は主にタイやマレーシアに集中していると指摘しました。そのうえで、カントー市が適切な政策、特に有利なビザ制度を導入できれば、この観光客層を引きつけられる可能性があるとの見方を示しています。
ここで重要なのは、カントー空港の国際線再開が航空分野だけの課題ではなく、観光政策や入国制度、旅行会社との連携とも深く関係している点です。特にチャーター便は、定期便に比べて市場テストがしやすい一方、受け入れ体制やプロモーションの整備が不可欠になります。
カントーは他地域への乗り継ぎ拠点になれるか
クオン副総局長は、カントーがダナン、ニャチャン、フーコックなど他の観光地へ向かう外国人観光客の乗り継ぎ地点になれる可能性にも言及しました。適切に活用できれば、カントー空港のフライト数と旅客数を大きく増やせるとの見方です。
これは、カントーを単独の観光目的地としてだけでなく、ベトナム国内の観光地をつなぐ中継拠点として位置づける考え方です。メコンデルタ地域の中心都市であるカントーが、国内外の旅行動線の一部に組み込まれるかどうかが、今後の国際線再開に向けた重要な論点になります。
航空物流への期待も大きい
ACVの幹部らは、カントーが航空物流を発展させる大きな可能性を持っているとも評価しました。背景には、港湾との接続性や地域間輸送インフラの整備があります。
カントー市人民委員会のチュオン・カン・トゥエン委員長は、市が現在、道路、鉄道、航空、海上輸送を結ぶ物流拠点の形成を目的とした総合計画を最終調整していると説明しました。特にカントー国際空港周辺地域については、地域の航空物流拠点として計画されているとしています。
旅客だけでなく貨物も空港活用の焦点に
カントー国際空港は、年間300万人の旅客処理能力を備え、滑走路は長さ3,000メートル、幅45メートルです。エアバスA350やボーイング787などの大型航空機にも対応できる設計とされています。
ACVによると、2025年のカントー空港の旅客数は約110万人と予想されていますが、すべて国内線であり、国際線は運航されない見込みです。一方、貨物取扱量は7,800トンを超えると予測されており、旅客便だけでなく航空物流の活用も今後の重要課題となります。
カントー市は韓国・日本・中国・マレーシア・タイへ代表団を派遣予定
カントー市の指導者によると、同市は今年、韓国、日本、中国、マレーシア、タイなどの主要市場に対し、投資、貿易、観光促進のための代表団を派遣する計画です。これは観光振興、企業間連携の強化、新たな航空路線の開設に向けた取り組みの一環とされています。
今回の会合で示された発言を総合すると、カントー国際空港の課題は「空港の能力不足」ではありません。むしろ、国際線を成立させるための観光需要の組成、航空会社との交渉、旅行会社との販売連携、ビザ・受け入れ政策、物流活用をどう一体で進めるかが問われています。
まとめ:カントー国際空港の焦点は「国際線再開」と「物流拠点化」
カントー国際空港は、国際空港としての設備を備えながら、定期国際便が運航されていないという矛盾を抱えています。カントー市トップが「非常に残念だ」と表現した通り、この状況は地域にとって大きな課題です。
今後は、韓国、マレーシア、タイ、日本、中国、台湾との接続強化、チャーター便の取り込み、観光・投資・貿易促進、航空物流拠点化が具体的な論点になります。カントー国際空港がメコンデルタの航空ハブとして機能を取り戻せるかどうかは、行政、ACV、航空会社、旅行会社、海外パートナーの連携にかかっています。
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※本記事は公開時点の報道内容をもとにした一般的な解説です。航空路線、空港計画、ビザ制度などの最新情報は、関係当局・航空会社・公式発表をご確認ください。