この記事のポイント
- TSDĐ算定は多段階で6カ月超、年単位もある
- 滞留2,991件のうち926件を解消、残りは分類対応
- 土地法2024で2手法、K係数の活用拡大が提案
不動産で「土地使用料(TSDĐ)」が詰まると何が起きるか
ベトナム不動産では、土地使用料(TSDĐ)の金額が確定しないことで、プロジェクト全体が止まるケースが報じられています。TSDĐや追加分を納められないと、開発の進捗だけでなく、購入者への「ピンクブック(sổ hồng:所有権証明書)」交付にも影響が出ます。つまり資金回収・引渡し・信用の3点が同時に揺れやすいのが、この問題の怖いところです。
報道では、TSDĐ算定が多段階で長期化しやすく、地価承認待ちだけで年単位になる案件もあるとされています。建設省の報告では、全国で問題案件が2,991件あり、そのうち926件が解消された一方、残りは分類して対応中という整理でした。ホーチミン市では停滞案件の80%が「地価算定の詰まり」に起因するとされています。
なぜTSDĐの確定に6カ月超かかるのか(多段階プロセス)
TSDĐの確定が遅れやすい理由は、単に「役所が遅い」ではなく、工程が多く関係者が増えやすい構造にあります。記事内では、鑑定コンサルの選定、鑑定書の作成、省級の評価評議会での承認まで含めると「6カ月未満ではない」との見方が紹介されています。
このプロセスは、関係機関の意見調整や追加資料の差し戻しが入るほど長引きます。結果として、金融コスト(利息・機会損失)や工期遅延が積み上がり、販売・引渡し・登記(ピンクブック)まで連鎖的に遅れる構図になります。
土地法2024と「残余法」「K係数」—手続短縮の現実解はどこか
TSDĐや土地賃料の算定で、実務上「残余法」と「価格調整係数(K係数)法」が主に用いられている、という整理が示されています。残余法は仮定・推計が多く、実態とずれる可能性が指摘され、鑑定→審議の工程も含め長期化しやすい点が論点になります。
一方、K係数法は「土地価格表×K係数」で算定し、K係数は市場価格との比較で調整する考え方です。土地価格表とK係数を当局が公表し、年次調整していく運用が進めば、主観性を抑えつつ、費用の予見可能性を高めやすい――というのが、記事が示す方向性です。
なお、法令面では土地価格の算定方法や、土地使用料・土地賃料に関する規定が段階的に整備されています(例:2024年土地法、土地使用料・土地賃料に関する政令など)。論点は「どの案件がK係数で処理でき、どの案件が個別鑑定(残余法等)に回るか」を、早い段階で見立てることです。
関連して、地方で計画情報をきっかけに地価が短期間で大きく動く(投機的な「土地熱」)ケースもあります。用地取得や拠点投資を検討している場合は、相場だけでなく、手続き・計画・許認可の不確実性も含めてデューデリを厚くしておくのが現実的です。工業団地計画が引き金? ゲアン省の地価高騰もあわせてご覧ください。
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※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。