この記事のポイント
- 2017年1Q〜2021年4Q、計7億ドンを賄賂供与
- 四半期7〜60百万ドン、仮払いが80%超の例も
- 1月28日、LanQ・ソンラム絡む23被告を継続審理
ハノイで23被告を継続審理:LanQ・ソンラムと旧バクザン省の収賄事件
ベトナムでは汚職摘発が続き、医療・公共サービス領域でも「取引の進め方」そのものが問われやすくなっています。2026年1月28日、ハノイでLanQ(医療関連)とソンラム(製薬関連)などを巡る詐欺・贈賄・収賄事件の公判が続き、被告23人の審理が行われました。報道では、LanQ元会長とソンラム元会長が詐欺・贈賄、旧バクザン省元局長が収賄で起訴されたとされています。
ポイントは、医療保険の資金に関わる「仮払い(tạm ứng)」を円滑にする目的で、金銭授受が“業務の応対”として組み込まれていった構図です。日本企業でも、病院・医薬流通・ヘルスケア周辺の取引を進めるほど、似た論点に当たりやすいので注意が必要です。
何が起きたか(2026/1/28時点の報道要点)
- 賄賂は2017年1四半期〜2021年4四半期にわたり、合計7億ドンとされる
- 四半期ごとに7〜60百万ドンという指摘
- 仮払いが80%超となる例や、書類未整備でも支払いが進んだとの指摘
「仮払い(tạm ứng)」を巡る贈収賄リスクと取引管理
本件が示すのは、「早く出すため」「資金繰りが苦しいから」という事情が、手続逸脱の口実になりやすい点です。医療保険の支払いは金額も頻度も大きく、現場では“例外処理”が積み上がりがちです。その例外が、贈答・謝礼・コミッションの曖昧運用と結びつくと、後から見たときに贈賄・収賄として整理されてしまいます。
医療制度の前提(保険の仕組みや指定医療機関の考え方)を押さえたい方は、まずベトナムの医療体制も合わせて読むと、実務上の論点が整理しやすくなります。
仮払いが“例外運用”を生みやすい理由
仮払いは本来、必要書類と条件が揃ったうえで運用されるべきものです。ところが現場では「締め日」「支払い遅延」「病院運営の資金繰り」などが重なると、判断が“スピード優先”に寄っていきます。すると、書類の不足や上限超過が「今回は特例」で通りやすくなり、誰がどの根拠でOKしたのかが曖昧になります。
「贈り物」「応対」で目的が曖昧になる危険
報道では、受領側が「企業からの贈り物」「仕事上の応対」と受け止めていた旨が語られています。ここが実務的に一番怖いところで、“贈り物”という言葉は支払いの目的・対価性・見返りをぼかします。日本企業側としては、相手が公的機関・準公的領域(保険・病院等)に近いほど、贈答をゼロベースで疑い、ルールで封じる設計が必要です。
賄賂の手口と金額:2017–2021に四半期ごと計7億ドン、仮払い80%超の指摘
手口として典型的なのは、現金(封筒)を会計担当が持参し、トップは「直接はやっていない」「細部は知らない」と距離を置くパターンです。報道でも、会計責任者が四半期の初めに複数回、封筒を執務室へ運んだ趣旨が述べられています。こうした“分業”は、社内で止めにくく、後から発覚した際に組織リスクとして跳ね返ります。
また、仮払いが80%を超えた例や、書類が揃っていないのに支払いが行われたとの指摘は、単なる「期限通り」ではなく、運用そのものが歪んでいた可能性を示します。ヘルスケア周辺は規制も多く、取引が複雑になりやすいので、別領域の事例でも「現場慣行→不正の固定化」が起きます。贈収賄の“仕組み化”という観点では、ホーチミン車検センターで贈収賄、ブローカーも暗躍も参考になります。
いかがでしたでしょうか。今後の報道が気になりますね。
※本件は公判報道に基づく整理であり、今後の続報・判断の変化もあり得ます。
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