ハノイの高度人材支援(最大1,000倍)を読み解く

この記事のポイント

  • 教授は基本給1,000倍=2.34十億ドンの一時金案
  • 博士・専門医IIは500倍、世界トップ200大の博士は600倍
  • 家賃補助は基本給10倍/月を最長24カ月、社宅も用意

ハノイ市が人材誘致で最大1,000倍の一時金支援を提案

ベトナムでは、企業だけでなく行政側も「高度人材の確保」に本気モードです。ハノイ市人民委員会(UBND)は、人材の誘致・重用に関する決議案を市人民評議会(HĐND)へ提出し、2026年1月27日の会期で審議予定と報じられています。

注目点は、支援が給与アップだけではなく、採用時の一時金、成果に応じた報奨、住居支援までをまとめた“パッケージ設計”になっていることです。対象も研究者層に限らず、企業の管理者・経営人材や文化・芸術、体育スポーツ分野の特別な才能まで含めて幅広く設定されています。

対象人材は「若手科学者・第一人者・戦略分野の高度人材」+優秀卒業生まで

対象として挙げられているのは、47歳未満の若手科学者(教授・准教授)や各分野の第一人者、戦略・重点分野の高度人材などです。さらに、優秀卒業生や文化・芸術、体育スポーツ分野の特別な才能も含まれるため、ハノイの採用市場では“上澄み人材”の取り合いが一段と見えやすくなります。

「基本給1,000倍」が示す採用市場の変化:給与から「初期支援+住宅+成果報酬」へ

この制度案のインパクトは、金額の大きさだけではありません。採用時点の一時金が「基本給(lương cơ sở)の倍率」で示されることで、候補者側が期待値を比較しやすくなります。結果として、企業の条件提示も“月例給与の差”より「サインオン(採用時支援)」「住宅」「成果評価・報奨」を含む総合設計で見られやすくなります。

特にR&D人材や専門職の採用では、候補者が行政の支援案と並べて企業オファーを判断する可能性があります。日系企業側は、給与テーブルだけで勝負するのではなく、初期支援の設計(移転費・研究環境・教育投資など)と、入社後に成果が出る仕組み(評価の透明性)をセットで整える方が現実的です。

職位別支援額(基本給2.34百万ドン基準)と制度の要点

本制度案は、基本給(lương cơ sở)を基準に支援額を算定します。政令73/2024/NĐ-CPでは、基本給は月2,340,000ドンとされています。これを前提に、採用時の一時金は学位・学職により倍率が変わります。

採用時の一時金(案):教授1,000倍、准教授800倍、博士500〜600倍

  • 教授:基本給の1,000倍(= 2.34十億ドン)
  • 准教授:基本給の800倍(= 約1.87十億ドン)
  • 博士・専門医II:基本給の500倍(= 約1.17十億ドン)
  • 世界トップ200大学群の博士号:基本給の600倍
  • 修士・専門医I:基本給の300倍
  • 学士:基本給の150倍

成果連動の報奨:最大30%・最大250倍・追加50倍(案)

初期支援に加えて、研究成果や提案、文化芸術・スポーツ作品などの結果に連動した奨励も盛り込まれています。市レベル以上の実用価値がある成果について、商業化利益(または価値)の最大30%を受け得る設計で、利益が特定できない場合は1件あたり最大250倍の基本給を上限とする考え方も示されています。さらに、国家・国際賞などは1件あたり最大50倍の追加支援対象とされています。

住宅支援:家賃補助は基本給10倍/月×最長24か月、社宅も(案)

住居面では、公務員住宅(社宅)を用意し、利用しない場合は家賃を月あたり基本給10倍以内で最長24か月支援する案が示されています。社会住宅の購入でも優先するとされており、生活基盤まで含めて誘致する発想です。

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