この記事のポイント
- 2025年決算での家族控除は本人11,000,000VND/月(年132,000,000VND)、扶養者は4,400,000VND/月(決議954/2020/UBTVQH14)
- 2026年1月1日から家族控除は本人15,500,000VND/月(年186,000,000VND)、扶養者は6,200,000VND/月へ(決議110/2025/UBTVQH15)
- 複数社から給与がある場合、原則は年間で最大所得を支払った組織の所管税務当局へ提出(政令126/2020/NĐ-CP(改正含む))
- 副収入が源泉10%のケースでも、条件次第で会社への「委任決算」が可能
ベトナム個人所得税(PIT)2025年決算:家族控除11百万ドン・提出先・委任可否を実務で整理
ベトナムのPIT決算(年次確定申告)は、毎年この時期に「どの控除が、どの年度に適用されるのか」「提出先はどこか」「会社が代行(委任)できるのか」で社内問い合わせが一気に増えます。
2025年3月17〜18日にCục Thuế(財政省系の税務当局)が行ったオンライン支援でも、質問の中心は家族控除(減額)、夜間・残業手当などの非課税扱い、複数社給与がある場合の提出先、そして委任決算の可否でした。
本記事では、2025年決算でブレやすい点を「年度ズレ」と「提出先判断」に分けて、実務で使える形に整理します。
ベトナム個人所得税2025決算で給与計算・従業員対応に生じる実務負荷
まず注意したいのが、同じ従業員でも「2025年の年次決算」と「2026年の給与計算(源泉)」で前提が変わり得る点です。
たとえば家族控除は、2025年決算では決議954/2020/UBTVQH14の本人11百万・扶養4.4百万が基準ですが、2026年(2026年1月1日以降の課税期間)からは決議110/2025/UBTVQH15で本人15.5百万・扶養6.2百万に変わります。
この「年度の取り違え」は、給与・人事部門の案内文、社内FAQ、給与明細の説明でミスが出やすいところなので、“2025年決算に使う控除額”と“2026年給与計算に使う控除額”を別表で固定しておくのが安全です。
また、夜間・残業手当の非課税は、2025年は個人所得税法04/2007/QH12の考え方に沿って、通常賃金を上回る部分が非課税(=割増分の切り分けが前提)という整理になります。
一方で2026年以降は個人所得税法109/2025/QH15の枠組みで、夜間労働・残業に加え、法令に基づく未消化休暇の支払分なども非課税の扱いが明確化される方向です。したがって、2025年決算では「割増分を説明できるデータの持ち方」が、現場の実務負荷になりやすいです。
実務では、給与システムの項目設計(手当コード、非課税フラグ、エビデンス)を先に整え、決算期に「説明できる状態」を作っておくと、問い合わせ対応がかなり減ります。
2025年PIT決算の提出先判断と「委任決算」可否のチェックリスト化
提出先(どの税務当局に出すか)は、複数社から給与・報酬がある従業員ほど迷います。原則は、年間で最も大きい所得を支払った組織を所管する税務当局に提出、最大所得が同額で複数ある場合は選択可能、という整理です(政令126/2020/NĐ-CP(改正含む))。
提出先の判断チェック(最低限ここだけ)
- ① 年内に給与・賃金の支払組織が2社以上あったか
- ② 年間所得の最大支払者はどこか(見込みではなく年次合計で判断)
- ③ 最大所得が同額の支払組織が複数あるか(ある場合は提出先を選べる)
企業側の困りごとは、「自社が最大支払者かどうか」を従業員から問われても、他社分が見えず即答しづらい点です。ここは社内FAQで“判断材料(年次合計・他社有無)を本人に確認する”運用を明文化し、個別対応の炎上を防ぎます。
委任決算(会社が代行)を検討する場合のチェック
委任の可否は、いくつか条件が重なります。整理すると次の通りです。
- ④ 同一企業グループ/同一システム内の異動で、雇用契約の終了を伴わない形か
- ⑤ 決算を行う時点で、当該組織に在籍・勤務しているか
- ⑥ 他社の臨時所得が、一定水準以下で源泉10%が行われ、かつ本人がその部分の決算を求めないか(※条件の取り扱いは運用で差が出やすいので要注意)
委任決算を「できる/できない」で断定するとトラブルになりやすいので、会社側はチェック項目をフォーム化し、本人申告→会社確認→委任の可否判断、という流れにすると安全です。
関連する手続の詳細は、今後の施行ガイダンス(政令・通達)で運用が具体化される可能性があります。社内規程・テンプレは「更新前提」で持っておくのがおすすめです。
なお、ベトナム進出企業では税務テーマが「人事・会計の論点」から「採用・定着(給与のわかりやすさ)」にも波及します。制度変更時は、日越両言語での社内案内テンプレを整備しておくと、問い合わせ工数を大きく削減できます。
関連サービス(社内運用整備・進出支援のご相談)
実務では「社内の運用設計(FAQ、フロー、データの持ち方)」が成果を左右します。必要に応じて、制度調査や現地実務の整理も含めてご相談ください。
- 市場調査(制度・運用の整理を含むデスクトップリサーチの設計)
- 現地法人設立サポート(進出初期のバックオフィス論点整理)
- ECサイト構築サポート(販売開始後の運用面も含めた伴走)
- TT(トラディショナルトレード)でのマーケティングサポート
- MT(モダントレード)でのマーケティングサポート
いかがでしたでしょうか。制度の“条文”だけでなく、“社内で事故らない運用”まで落とし込むのがポイントです。
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※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。