墓石に何を刻む? 家系墓・戦没者墓の表記を調べてみた

この記事のポイント

  • ベトナムの墓石の刻み方の解説
  • 様々なルールがあるが、フレキシブルに対応している側面も

ベトナムの慣習に沿った「墓石(碑文)」の刻み方

本日は、ベトナム生活習慣について解説します。生活をしていると郊外で目にする墓石について、表記ルールを調査してみました。

ベトナムでは、埋葬後に墓石を建て、故人の情報を碑文として刻むことが重視されます。参拝の際に取り違えないためだけでなく、後世の子孫が「誰がどこに眠っているか」をたどれるようにする意味合いも大きいです。墓が多い場所では同姓同名も珍しくないため、墓石の情報が“身元確認”の役割を果たします。

墓石に「正しい情報」を刻む理由

墓参りの現場では、家族が短時間で目的の墓を探して祈祷・焼香することもあります。そのとき、氏名や出身地、生没日などの情報が整理されていると、誤って別の墓に参拝してしまうリスクを下げられます。これは、現地の慣習としても実務としても重要なポイントです。

ベトナム式:墓石の碑文に入れる基本項目

一般的に、ベトナムの墓石には次のような情報を刻みます。家庭・宗教(仏教/カトリック等)や地域で差はあるので、家族内で方針を揃えたうえで、彫刻業者と最終確認しています。

1)故人の「家族内での続柄(役割)」

碑文の冒頭に、故人が家系の中でどの立場かを示す表記を置くことがあります(例:祖父/祖母、曽祖父/曽祖母など)。

2)故人の氏名(原則:省略しない)

氏名は省略せず、正式表記で刻むのが基本です。読みやすさを優先し、装飾が強い書体より、整った文字の方が好まれます。

3)生年月日・死亡日(陽暦+陰暦を併記するケース)

ベトナムでは、記載自体はグレゴリオ暦(陽暦)で行いつつ、命日など祖先祭祀の都合から陰暦日付を併記する例が見られます。家族の年中行事(命日・忌日)と結びつくため、表記ルールを最初に決めておくそうです。

4)「享寿(hưởng thọ)」「享阳(hưởng dương)」の表記

墓石では、享寿(hưởng thọ)・享阳(hưởng dương)といった語を添えることがあります。一般的には、年齢が高い場合を「享寿」、若くして亡くなった場合を「享阳」とする説明が多い一方で、線引き年齢(例:60歳)などは地域・家族の慣習差もあります。迷う場合は、家族の年長者や寺院関係者、石材店に確認しています。

5)出身地(原籍)

故人の出身地は、同姓同名の判別や、後世の家系確認に役立つため刻むことがあります。地名は省略せず、行政区分の書き方も含めて統一されています。

6)肩書・功績(必要な場合のみ)

生前の役職や功績を刻むケースもあります。ただし、家族の意向が分かれやすい部分なので、入れる/入れないを先に合意しておくとスムーズとのことです。

7)埋葬日(家によっては記載)

埋葬日まで刻む家庭もあります。情報量が増えるほど誤記リスクも上がるため、必要性と確認手順をセットで考えるのがコツとのことです。

8)蓮の意匠(仏教系でよく見られる)

仏教的な意匠として蓮を彫る例があります。宗教・宗派で好みが異なるので、墓地(霊園)の規定も含めて確認されるのが一般的です。

戦没者(烈士)墓の書き方:氏名不詳・情報未確定の扱い

戦没者墓地では、故人情報の表示に加えて、国家への貢献に対する追悼・顕彰の意味合いも含まれます。身元が不明な場合は、墓の通し番号を明記し、生年・出身地・年齢などが不明な項目は空欄にする、といった整理が紹介されています。氏名が不明な場合に「氏名不詳」に相当する表記を置き、判明後に追記できるよう余地を残す考え方もあります。

墓石の誤記は後からの修正が難しく、家族内トラブルにもつながりやすいです。特に「氏名」「生没年」「出身地」は最優先で二重三重に確認しましょう。さらに、文字が長期で読めるように、彫刻品質(文字の直線性、深さ、耐候性)を担保できる業者を選ぶことが重要です。

墓石の素材・刻印方式・写真掲示の考え方

墓石の素材は花崗岩など耐久性の高い天然石が一般的で、白系・緑系など色味もさまざまです。刻印は凹版(沈み彫り)とレリーフ(浮き彫り)などがあり、読みやすさと耐久性のバランスで選ばれます。

また、墓石に写真を入れるかは家族の考え方で分かれます。風雨で劣化しやすい点を懸念する人がいる一方、参拝時の取り違え防止に役立つという意見もあります。結論としては、墓地規定・家族意向・メンテナンス体制まで含めて決めるのが現実的です。

ベトナムの墓石碑文は「慣習+実務」の両面があります。続柄、氏名、生没日(陽暦/陰暦)、享寿/享阳、出身地など、必要項目を先に決めてから情報を確定し、彫刻前の最終校正を丁寧に行うのが一番の近道です。迷う表記は地域や家ごとの差があるようです。

いかがでしたでしょうか。なにかの参考になれば幸いです。

ベトナム市場への進出・マーケティングに関するご相談

MAI International では市場調査、TT/MTチャネル開拓、EC・デジタルマーケティング、現地法人設立支援などを提供しています。ベトナム展開やチャネル戦略を相談したい方は下記よりお問い合わせください。
お問い合わせフォームへ

※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の慣習・表記・墓地規定は地域や霊園によって異なるため、もしも必要な場合には必ず現地の関係者(家族・寺院・墓地管理者・石材店等)にご確認ください。