ホーチミン市タウンハウス賃貸が苦戦、利回り1~2%時代

この記事のポイント

  • ホーチミン市でショップハウス市場が停滞
  • モールが優位、EC浸透の影響も

ホーチミンの路面物件が“稼げない資産”に

ホーチミン市のタウンハウス(いわゆる路面の店舗兼住宅)やショップハウスの賃貸市場が、需要と収益性の低下で苦戦しています。以前は「家賃が入り続ける安全資産」と見られがちでしたが、直近は空室・短期契約・追加コストで、実質キャッシュフローがほぼゼロというケースも出ています(出典:VnExpress 2026年2月10日)。

例えば、購入価格が約180億ドン超のタウンハウスが、以前は月7,500万ドンで貸せていたのに、現在は4,000万ドン台まで下がり、税金・維持費・減価償却を差し引くと手残りがほとんど残らない、という事例が報じられました。ショップハウスでも、家賃を下げても入居が決まらず、ローン利息や管理費で毎月の持ち出しが続くケースがあります。

数字で見る市況:需要減・家賃下落・利回り低下が同時進行

報道で示されたデータでは、路面物件の賃貸需要は3年連続で減少し、2023〜2025年にかけて検索(問い合わせ)ボリュームが年平均20〜30%減。募集賃料も15〜20%下落し、都心部の一部では25〜30%下落したとされています。

投資面でもインパクトは大きく、2020年以前は賃貸利回り6〜8%が一般的だった一方、コロナ後はタウンハウスで2〜3%、ショップハウスで1〜2%へ低下。2025年時点の見立てとして、タウンハウス1.5〜2%、ショップハウスは1%未満まで縮む可能性が示されています。

なぜ起きた:消費行動の変化と「モール優位」の加速

背景の一つは、消費者行動の変化です。ECの浸透や、ショッピングモールなど“買い物が集積する場所”へのシフトが進むと、路面単独立地の店舗は集客効率が落ちやすくなります。さらに銀行・飲食(F&B)・医療・教育といった主要テナントが、再編やネットワーク縮小でコストを絞っている点も重なります。

もう一つは、モール側の競争力です。大手ブランド需要でモール賃料が上がる一方、タウンハウスの吸収率(埋まりやすさ)は30〜40%低下したという指摘もあります。「路面=一等地なら強い」という前提が崩れ、アクセスのしづらさ、駐車の弱さ、用途不適合などがそのまま稼働率に反映されやすくなっています。

オーナー側の実務:賃料を下げるだけでは効かない

この局面で重要なのは、「値下げ」よりも「運用モデルの再設計」です。単純に家賃を下げても、テナントが利益を出せなければ短期で撤退し、空室・原状回復・仲介手数料が積み上がります。結果として、家賃水準を下げたのにキャッシュフローが改善しない、という状態に陥ります。

1)契約設計を変える:柔軟契約・収益分配・部分リース

  • 柔軟な契約条件:内装費の負担分担、段階賃料(最初は低く、売上次第で上げる)
  • 収益分配(レベニューシェア):固定賃料+売上連動の組み合わせで、撤退率を下げる
  • 部分リース:1棟まるごとにこだわらず、フロアや区画で貸し分けて稼働率を優先

2)「業種」から逆算する:物理拠点が必要なテナントを優先

路面は、体験・サービス提供がある業種ほど強みが出ます。具体的には、飲食、ヘルスケア、教育、パーソナルサービス、体験型ショールームなど、オンラインだけでは完結しづらい業態が候補になります。

3)“一等地”の再定義:導線・駐車・視認性が弱いと勝てない

過去の相場観に合わせて価格を維持するのではなく、購買力と運用可能性(アクセス、駐車、視認性、近隣集客)に基づき再評価する必要があります。「場所が中心部」だけでは足りず、実際に人が止まれるか・入りやすいかが問われます。

出店企業側の示唆:路面店は“選別の時代”

企業の視点では、路面店は撤退が増えている分、条件交渉余地が広がりやすい一方、立地の当たり外れが大きいフェーズに入っています。検討ポイントは「賃料の安さ」より、①来店導線(歩行者・二輪/四輪の停車)②駐車・搬入③近隣の集客装置(学校・病院・オフィス・モール)④看板視認性と間口、の順で優先度を上げるのが安全です。

また、EC・SNS集客を前提にする場合でも、路面は“倉庫・受け渡し・体験”の拠点として設計すると成功確率が上がります。逆に、物件スペックに合わない業態(動線が必要なのに奥まっている等)だと、賃料が安くても短期撤退リスクが高くなります。

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