この記事のポイント
- 取引総額100億ドン超のZalo数字賭博を摘発
- 16被告を起訴、関与43人を特定し49台押収
- 履歴削除やSIM交換でも復元捜査で立証
ダナンでZalo数字賭博を摘発:取引総額100億ドン超
ベトナム現地で日本企業にもおなじみのメッセンジャーアプリ「Zalo」は、日常利用だけでなく、業務連絡や取引先とのやり取りにも広く使われています。そのZaloを使った数字賭博(ghi số đề)の事件がダナン市で摘発されました。
ダナン市警は2026年1月8日、Zaloを利用した数字賭博および組織賭博事件として立件し、16人の被告を起訴したと発表しています。報道によれば、総取引額は100億ドン(約数千万円)を超え、首謀者はグエン・バン・コン(40歳、カムレ区在住)とされています。容疑者らは複数のZaloアカウントを使い、中間グループを介した分業体制で番号の受領・転送を行い、手数料を得ていたとされます。
捜査当局は、関与が疑われる43人を特定し、携帯電話49台のほか現金や口座内資金を押収。サイバー関連部署と連携し、削除されたメッセージや電子データの復元など、デジタルフォレンジックを含む捜査を進めていると報じられています。
Zalo・Telegram等を悪用するオンライン賭博
今回の数字賭博では、Zaloの「グループ」機能や個別メッセージを活用し、グループを閉鎖設定にしたうえで、“仮想”のアカウントを複数使い分ける手口が明らかになりました。参加メンバーは限定され、外部からはグループの存在ややり取りの中身がほとんど見えない構造になっていたと考えられます。
さらに、複数のZaloアカウントを用意し、「中間グループ」を介して番号を受け渡すことで、末端の利用者と首謀者が直接つながらないよう分層(階層)モデルで運営されていたとされています。これは、どのアカウントが誰の指示で動いているのかを外部から把握しにくくする典型的なやり方です。
もう一つの特徴は、履歴削除やSIMカードの頻繁な交換です。容疑者らは、取引後すぐに電子データを削除し、電話番号・アカウントをこまめに変えることで、証拠を残さない運用を徹底していたとされています。
結果として、当局はサイバー犯罪対策部門と協力し、削除されたメッセージの復元や端末・アカウントの突合など、技術的な手法を総動員して犯行パターンと各容疑者の役割を解明する必要がありました。これは企業目線で見ると、「履歴削除を前提としたチャット運用」であっても、端末やバックアップ、ログの残り方次第では後から復元・追跡され得るという示唆でもあります。
今回の賭博事件では、チャット上の番号のやり取りが、現金の受け渡しや銀行口座内資金の動きと密接に結び付いていました。つまり、見えにくいSNS上の指示が、実体経済上の資金移動に直結していた構図です。
企業としては、「チャット上の指示で資金が動く」経路がどこに潜んでいるかを棚卸しし、誰がどの経路で支払いや振込依頼を出せるのか、チャットで済ませてはいけない指示は何か、といったルールを明確にしておく必要があります。
SNS/メッセージアプリ悪用に備えるリテラシー教育
ベトナム拠点では、Zalo・Facebook Messenger・Telegramなど、現地でよく使われるアプリがそのまま業務連絡に使われるケースが少なくありません。「公式メール+チャット」「個人スマホ+会社業務」といったグレーな組み合わせが放置されると、次のようなリスクが生じます。
– 重要な指示や承認が、社内で把握されないチャット上だけで完結してしまう
– 個人アカウント・個人端末に業務情報がたまり、退職・端末紛失時に管理できない
– オンライン賭博や違法販売など、業務と関係のない違法行為の連絡網に従業員が巻き込まれる余地が生まれる
Zaloなどメッセンジャーアプリを完全に禁止するのは現実的ではありません。むしろ、「どこまで業務利用を認めるか」「どのチャネルを公式な指示経路とするか」を決めておくことが重要です。例えば、次のような項目を社内規程・ローカルルールで定義しておくイメージです。
いかがでしたでしょうか。ベトナムではギャンブルは規制されていますが、このように身近なツールを使った違法ギャンブルの事件が起きています。
※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。
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