この記事のポイント
- 64被告の贈収賄事件、1月8日開廷—22日まで審理予定
- 収賄総額は63億ドン、所長・副所長は各5.7億ドン
- 賄賂は最大100万ドン/台、上納は8,000〜15,000ドン/回
ホーチミンTTĐK50-04V贈収賄裁判:1月8日開廷と64被告の争点
ベトナムではEVシフトを含めてモータリゼーションが起きています。自動車が国民の生活に密接に関わり合う中で、問題も内在しています。
本記事では、ベトナム国内で注目されている社会的事件として、ホーチミン市の車両登録検査センター(TTĐK)50-04Vを巡る贈収賄事件をご紹介します。
2026年1月8日、ホーチミン市人民裁判所は同センターで発生した贈収賄事件の一次審を開廷し、合計64人の被告人に対する審理を開始しました。裁判は2026年1月22日まで続く予定と報じられています。
加えて、裁判所は元ベトナム登録局長であるトラン・キー・ヒン氏およびダン・ベト・ハー氏の2名も証人として召喚しています。両氏は別件の控訴審(2025年1月)で、それぞれ禁錮22年・17年の判決を受けており、今回の事件との関係性も焦点になっています。
ベトナム車両登録検査(Đăng kiểm)不正が物流・操業に与えるリスク
ベトナムでは、一定期間ごとに「Đăng kiểm」と呼ばれる車両登録検査を受けることが義務付けられており、道路交通の安全確保や環境基準の遵守を担保する仕組みになっています。
TTĐK50-04Vは、ホーチミン市にある登録検査センターの一つで、商用車を含む多数の車両が日々検査を受ける重要拠点です。この拠点で検査担当者が金銭を受け取り、車両の欠陥や不備を見逃していた疑いが持たれていることが、本件の出発点となっています。
検査員らは、本来であれば不合格とすべき欠陥を抱えた車両について、金銭を受け取る代わりに検査を通したとされています。裁判では、誰がどの程度の関与をしていたか、また組織としてどこまで責任が及ぶのかが主要な争点となります。
本件では、金銭のやり取りが車種ごとに「一定の水準で合意」されていたほか、直接受領とブローカー(仲介者)経由での受け取りが組み合わされていたとされています。
ベトナムで車両を運用する企業にとっては、登録検査費用の支払いフローがコンプライアンス上のボトルネックになり得ることを前提に、委託先・子会社・駐在員向けのルール設計が必要と言えます。
TTĐK50-04Vで示された賄賂スキーム:車種別30万〜100万ドンと総額63億ドン
報道によれば、TTĐK50-04Vでは検査員が車両の欠陥を見逃す代わりに受け取る金額が、車種ごとに「統一」されていたとされています。
– 直接受領の場合
– トレーラー:30万ドン/台
– トラクターヘッド:50万ドン/台
– 発電機を追加装着した車両:100万ドン/台
– ブローカー(仲介者)経由の場合
– トレーラー:20万ドン/台
– トラクターヘッド:30万ドン/台
– 発電機付き車両:50万ドン/台
単発の袖の下ではなく、「車種」「受領経路(直接/ブローカー)」ごとに定額メニューのような形で金額が設定されていた点が特徴的です。これは、現場でのやり取りが属人的というより、一定のルールに基づいて反復されていた可能性を示唆しています。
捜査結果では、同センターの検査員が受け取った賄賂の総額は約63億ドンと認定され、所長のグエン・スアン・ハイ氏と副所長のチュー・ディン・ヒエップ氏は、それぞれ約5.7億ドンを得たとされています。
さらに、ハイ被告の供述によると、2022年4月〜10月の間、ダン・ベト・ハー元局長が「Vブロックの各登録検査センター」に対し、検査合格1件あたり8,000〜15,000ドンを分配するよう求めたとされています。
登録検査センター利用時の契約・監査・通報設計で贈収賄リスクを下げる
本件では、検査担当者が車両の不備を見逃す見返りに金銭を受け取り、その一部が上位者へ分配されたとされています。
企業としては、登録検査センターを直接利用する場合だけでなく、運送会社など委託先に検査を任せている場合も含め、次のような観点で契約の見直しを検討する余地があります。
– 贈収賄禁止条項(ローカル法および日本側の腐敗防止規程の双方に準拠)
– ブローカー・仲介者を介した支払いの禁止または事前承認制
– 登録検査費用の内訳・支払い先を明示する報告義務
– 不正が発覚した場合の契約解除条項・損害賠償規定
特に、「どこに」「何の名目で」支払っているのかを後から説明できる状態にしておくことが、コンプライアンス対応の出発点になります。
TTĐK50-04Vの贈収賄事件は、ベトナムでの車両登録検査(Đăng kiểm)が単なる「形式上の手続き」ではなく、安全管理とコンプライアンスリスクの交点にあることを改めて浮き彫りにしました。
いかがでしたでしょうか。摘発により、このような不正がなくなっていくと良いですね。
※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。
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