ハノイ警察が健康食品で捜査、根拠無い効用うたう販売

この記事のポイント

  • 高齢者向けにサプリを8-12倍で販売、30-50人セミナー運営
  • 65歳以上限定・携帯禁止、拠点は5-6か月ごと移転し5拠点目
  • 2025年8-12月で不正利益は数百百万ドン、日本企業は流通・表示の統制が鍵

高齢者に実勢価格8-12倍で販売

ベトナムでは、サプリメントや機能性食品を含む国外産の健康食品市場が拡大する一方で、模倣品や科学的な裏付けのない効能をうたう製品も少なくありません。こうした状況を問題視した政府・自治体は、ここ数年で取り締まりを強化しており、高齢者を狙った悪質な事例も継続的に報道されています。

2026年1月4日、ハノイ市公安は、Onnuri Vina社の違反行為について、グエン・ティ・フオン(33歳)を代表者として捜査中であると発表しました。同社はハノイ市ホアック・バク・アンカインの拠点から、アンクアン社フオン・クアン通り89番地の会場にて、出所不明の機能性食品を使用したセミナーを平日午前に定期開催し、主に高齢者30〜50人を集めて宣伝・販売していたとされています。

調査によれば、これらの製品は健康食品でありながら、がん、糖尿病、骨・関節などへの治療効果があるかのように誇大に宣伝され、実勢価格の8〜12倍という高額で販売されていたと報じられています。2025年12月22日の立ち入り検査では、多数の製品・偽造が疑われる試験結果票・副ラベルなどが押収され、2025年8〜12月の短期間で数百百万〜数十億ドン規模の不正利益を得ていた可能性が指摘されています。

本記事では、このOnnuri Vina事案の特徴を整理したうえで、ベトナムの健康食品ビジネスに関わる日本企業にとってのリスクと、正規流通設計における実務的な対応ポイントを考えていきます。

高麗人参商材のブランド毀損の可能性も

ハノイ市公安によれば、Onnuri Vina社はアンクアンの会場で、月曜〜土曜の午前中に定期的な説明会を開催し、30〜50人規模の高齢者を集客していました。ここでは、出所不明の高麗人参粉末や黒参、鹿角入り黒参エキスなどの健康食品が、「がんや糖尿病、関節疾患の改善を助ける」かのように説明され、実勢価格の8〜12倍で販売されていたとされています。

販売にあたっては、韓国人を雇い入れ、「韓国由来の製品である」というストーリーを強調したほか、科学的な検証が行われていないにもかかわらず医薬品並みの効能をうたった点が問題視されています。原産国イメージと効能訴求を組み合わせることで、価格の正当化と高齢者の心理的な安心感を同時に獲得しようとしたと考えられます。

一方で、ベトナムではもともと高齢者向け機能性食品へのニーズが高まっており、健康志向の高まりと高齢化の進行を背景に、今後も市場拡大が見込まれる領域です。
この「構造的な需要の強さ」と「情報格差の大きい高齢者層」が組み合わさることが、誇大広告や不正販売を誘発しやすい土壌になっていると言えます。

同社は韓国人スタッフを前面に出し、「韓国由来」「本場の高麗人参」といったストーリーを説明しつつ、科学的な根拠のない効能を医薬品のようにうたっていました。これは、原産国イメージと健康効果をセットで訴求する、健康食品ビジネスでは一般的な手法を、法令の範囲を超えて悪用した形と言えます。

ベトナムで高麗人参や健康食品を扱う企業にとっては、自社製品が正規ルートで流通していても、「原産国・効能」を強調する表現全体に対する消費者の不信感が波及するリスクがあります。特に高齢者向けカテゴリでは、「高い=効く」という価格認知も利用されがちであり、同様のカテゴリーに属するブランドは、説明責任を問われる可能性を意識する必要があります。

どうなる? ベトナムの健康食品市場

ベトナムは、これまで「若い国」というイメージが強い一方で、今後数十年で急速に高齢化が進むと予測されており、高齢者向けヘルスケア・健康食品への支出は今後も増加が見込まれます。
また、都市部を中心に健康志向が高まり、サプリメントやオーガニック食品への関心が強まっていることも、市場の追い風となっています。
一方で、偽造品や出所不明品、誇大広告といった問題が繰り返し報道される中で、政府は健康食品の登録手続きや市場監視を強化する方向に動いています。

ベトナム健康食品の正規流通設計と偽表示・誇大広告の封じ込め

日本企業にとっては、こうしたコンプライアンス・品質・アフターサポートの強みを前面に出しつつ、TT/MTチャネルやECを活用した正規流通網を構築していくことで、市場の信頼回復とともに存在感を高める余地があります。

Onnuri Vina事案は、ベトナムの健康食品市場における「構造的なリスク」を分かりやすく可視化したケースと言えます。

・健康志向と高齢化を背景に、健康食品・サプリへの需要は今後も伸びる
・一方で、高齢者層の情報格差と、誇大広告・偽造書類・不透明な流通を組み合わせたビジネスが入り込む余地も大きい
・正規品であっても、扱い方次第ではカテゴリ全体の信頼低下に巻き込まれる

日本企業としては、単に「きちんとした商品を輸出する」だけでなく、現地チャネルでの販売手法や表示管理・危機対応までを含めて設計することが求められます。

今回は、ベトナムの健康食品の実情が伝わるようなニュースを紹介してみました。もしも参考にあれば幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。

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