この記事のポイント
- TP.HCMでAIカメラのデータにより容疑者を72時間未満で逮捕
- 事件はタンフン坊(旧7区)で発生し、ホーチミン市警が捜査
- ベトナム都市部でも進むAI技術の活用についての考察
■ホーチミン市タンフン坊の窃盗事件を72時間未満で解明:AIカメラ活用の事実
日々進化するAIテクノロジーは、ベトナムでも徐々に「実務の当たり前」になりつつあります。本記事では、ホーチミン市で実際に起きた窃盗事件の解決事例を通じて、AIカメラがどのように防犯・捜査に活用されているのかを整理し、企業が見直すべき防犯カメラ運用の論点を考えていきます。
■事件の概要とタイムライン
2025年12月下旬、ホーチミン市タンフン坊(旧7区)にある賃貸部屋で窃盗事件が発生しました。被害者は、ノートPCや財布などの貴重品を盗まれたとして、同日中に警察へ通報したと報じられています。
通報を受けたタンフン坊警察とホーチミン市警(PC02)は、現場周辺に設置されたAIカメラシステムのデータを緊急で解析。顔認証や体格・歩き方・服装などの特徴情報を手がかりに、容疑者の移動ルートを追跡し、事件発生から72時間未満で容疑者の身柄を確保したとされています。
「72時間未満で事件解決」という数字自体はメディア的なインパクトがありますが、企業目線で見ると、「事件発生から72時間のあいだにどれだけ質の高い映像データを残せるか」が拠点防犯に直結することを示した例ともいえます。
■AIカメラシステムの役割
今回活用されたAIカメラシステムは、単なる録画機能付きCCTVではなく、以下のようなAI機能を備えた「解析プラットフォーム」として紹介されています。
– 顔認証:過去の映像データとの照合により、マスク着用などで顔の一部が隠れていても特徴を抽出して類似人物を特定
– 行動・動線分析:特定人物の移動ルートや出入り時間帯を自動で追跡し、追跡対象を絞り込み
– 属性情報の活用:服の色、体格、持ち物などの属性を組み合わせた検索により、「似た人物」を高速で抽出
ホーチミン市では交通違反の検知などにもAIカメラを活用しており、2025年時点で主要幹線道路を中心にAIカメラネットワークの整備が進んでいます。
こうしたインフラが整備されてきたことも、今回のような「72時間未満での事件解決」を支える背景となっています。
■ホーチミン市のAIカメラ捜査が示す拠点防犯と資産保護
前述の通り、本件ではAIカメラシステムから得られたデータが、短期間での容疑者特定と逮捕に大きく寄与しました。これは「ホーチミン市は怖い」という話ではなく、「カメラデータの有無・質・運用が、トラブル発生後の打ち手を左右する」という実務課題を浮き彫りにしています。
こうした観点は、工業団地の工場だけでなく、オフィス・ショールーム・小売店舗などにも共通するテーマです。
ベトナムでは、2023年7月1日に個人データ保護に関するデクリー13/2023/ND-CP(いわゆるPDPD)が施行され、個人データの収集・保存・提供に関するルールが大きく強化されています。
– カメラ映像には、「顔」「外見」「動線」といった個人を識別し得る情報が含まれるため、個人データとして扱われる可能性が高い
– 2026年1月1日からは、より包括的な個人データ保護法(PDPL)が施行される予定であり、長期的にはこちらも念頭に置いた設計が望ましい
そのため、
– 撮影目的・利用範囲を社内規程に明記
– 従業員への通知・説明(場合によっては同意取得)
– データ主体からの開示・削除要請への対応フロー
などを、ローカル法律事務所や専門家と相談しながら整備しておくと安心です。
※本記事は法的アドバイスではありません。具体的な運用設計にあたっては、必ずベトナムの弁護士・専門家へご相談ください。
スーパーや家電量販店などのTT/MTチャネルでの展開を検討している企業は、売場の防犯カメラ運用と販促活動を合わせて設計するケースも多く、現地営業支援とセットで検討するのも一案です。
運用ルールと教育
1. 社内ルールの明文化
– 撮影範囲・保存期間・アクセス権限・持ち出し禁止のルール
– 警備会社・ビル側システムとの役割分担(どこまでが自社責任か)
– 映像のモニタリング頻度(常時監視か、事後確認中心か)
2. 現地スタッフへの教育
– カメラの重要性(防犯だけでなく、従業員・顧客を守るための仕組みであること)
– 不正アクセス・不適切閲覧の禁止
– 事件発生時の初動フロー(誰に・どう報告するか)
教育は一度きりではなく、年度ごとのリフレッシュトレーニングや、新入社員・中途採用者向けのオンボーディングに組み込むのがおすすめです。
■ベトナム市場への進出・マーケティングに関するご相談
MAI International では市場調査、TT/MTチャネル開拓、EC・デジタルマーケティング、現地法人設立支援などを提供しています。ベトナム展開やチャネル戦略を相談したい方は下記よりお問い合わせください。
> ※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。