ハノイ電力公社の取り組み紹介、40℃猛暑・洪水でも電力維持

この記事のポイント

  • 10月の大雨と台風11号で河川増水、下流域が深刻冠水
  • 水位上昇の約15日間、100%人員を24/24で現場待機
  • 7-8月は40℃、設備は60℃—安全優先の運用が鍵

EVNHANOIが語る「猛暑・洪水」下の電力安全の現場

本日は、ベトナムのインフラ事業者の取り組みをご紹介します。

ベトナム電力総公社(EVN)のハノイ拠点であるEVNHANOI(ハノイ電力公社)は、猛暑や雨季の悪天候下での電力供給と安全確保について、現場作業員の声を紹介しています。発表内容によると、通報を受けたチームは現場に急行し、午後から夜23時ごろまで連続作業になる日も少なくありません。

10月には、大雨と台風11号の影響でカウ川とカー・ロー川の水位が上昇し、チュンジャーやダー・フックなど河川沿いの住宅地で深刻な浸水が発生しました。この期間、電力管理隊は約15日間にわたり、チュンジャー地区の3箇所に100%の人員を24時間体制で配置し、送電線や変電設備の監視・保守に当たっています。

一方で、ハノイでは近年40℃前後の猛暑が頻発し、電力需要の急増と設備への負荷増大が課題となっています。北部では熱波により電力消費が過去最高を記録した年もあり、電力会社は安全性と安定供給の両立が求められています。

ハノイの極端気象で高まる停電・感電リスクと拠点BCP

EVNHANOIは冠水時、脆弱なエリアの水位を時間単位で監視しながら、状況に応じて送電停止(「切電」)や系統の分離を行っています。ここで重要なのは、停電が単に「事故の結果」として起きるのではなく、「住民や作業員の安全を確保するために意図的に実施される措置」である場合がある、という点です。

冠水が深くなると、住宅地の変電設備や配電盤、低圧線まで一体で浸水し、わずかな漏電でも重大な感電事故につながるリスクが高まります。EVNHANOIはこうしたリスクを前提に、復電よりも安全確保を優先する運用ポリシーを打ち出しており、極端な気象が続いても、安易に送電を再開しない選択を取っています。

台風11号と長雨で広がった冠水対応

10月は台風11号と長雨の影響が重なり、カウ川とカー・ロー川の水位が上昇、下流域の冠水が深刻化しました。チュンジャーやダー・フックなどの河川沿いエリアでは、住宅地まで浸水し、住民が家財の移動や一時避難を余儀なくされました。

ソックソン地区では、増水が続いた約15日間、EVNHANOIはチュンジャーの孤立エリア3地点に対して、100%の人員を24時間交代で張り付ける体制を敷きました。水位が急激に上がる一方で排水が遅く、泥やごみが溜まることで、感電や設備損傷のリスクが高まる「長期冠水」の状況だったためです。

EVNHANOI事例に学ぶ停電時オペレーションと現地連携の作り方

EVNHANOIの事例から、企業のハノイ拠点BCP・停電時オペレーションを考える上で、以下のポイントを整理できます。

1. 「復電を急ぐ」と「安全のために遅らせる」を同じ手順書の中に位置付ける

EVNHANOIは、極端な天候下での復旧において、「早さ」と同時に各工程での安全手順順守を重視しています。これは、企業のBCPにおいても、以下の2つの判断を同じフローの中に明記する必要性を示唆します。
この両方を正式な選択肢として位置付けることで、現場が「売上確保のために無理をしてでも操業再開すべきなのか」「安全のために待つべきなのか」という矛盾したプレッシャーに晒されにくくなります。

2. 水位や設備状態に基づく「段階的復旧条件」を定義する

EVNHANOIは、河川の水位や冠水状況に応じて、「監視→切り離し→待機→復旧準備→送電再開提案」という流れを運用しています。企業側でも、例えば以下のような段階をあらかじめ決めておくと、現場判断がブレにくくなります。
このように、「水が引いたら再開」ではなく、「水位・設備状態・点検結果に応じた復旧条件」を数値ベースで持つことが、複数拠点・複数シフトでの運用にも有効です。

3. 構内の「復電前点検」を標準ステップとして組み込む

EVNHANOIは、送電再開の前に、作業者が水に入って変電設備を点検し、機器の清掃や絶縁測定、線路の安全性評価を終えたうえで「再送電を提案」する手順を取っています。企業側でも、少なくとも以下のような復電前点検項目を、手順化しておくことが望まれます。

復旧を「スイッチを上げるだけ」と捉えず、「点検→判定→復旧」という段階的プロセスとして標準化することで、事故リスクの低減につながります。

いかがでしたでしょうか。ベトナムは今年、自然災害がありましたので、このように現場での取り組みがメディアでも紹介されています。

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※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。

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