この記事のポイント
- オーストラリア産ライチ「Kiamana」がベトナムで1kgあたり約800,000ドン(約400万ドン/5kg箱)で販売され、前年から約20%値下がり。
- それでも国産ライチの約7倍という高価格帯ながら、輸入果物専門店ではシーズン中に100箱以上販売される需要がある。
- ベトナムとオーストラリアの収穫時期のずれを活かした「オフシーズン高級フルーツ」として、日本企業にとっても輸入果物ビジネスのヒントとなる。
本記事は、2025年12月時点での公開情報をもとに、ベトナムにおけるオーストラリア産ライチ輸入の現状と、日本企業への示唆を整理したものです。
オーストラリア産ライチ輸入の最新動向
ベトナム小売店での販売状況
ホーチミン市・Nha Be区の輸入果物店では、オーストラリア産ライチ(品種:Kiamana)を30箱規模で仕入れ、シーズンを通じて100箱以上を販売しています。1箱5kg入りの空輸品で、箱単価は約400万ドンと、明確に「贈答・ご褒美」用途を狙った高級フルーツです。
別の店舗では、大玉サイズのKiamanaライチを、標準サイズより1kgあたり約10万ドン高い価格で販売しており、「サイズによるプレミアム」をつけても受容されている様子がうかがえます。
価格水準と国産ライチとの比較
Kiamanaライチの店頭価格は、おおむね800,000ドン/kg前後とされています。前年同期比で約20%値下がりしたものの、ベトナム国内で最も評価の高いライチ(バクザン省ルックガン、ハイズオン省タインハー産)と比較すると、それでも約7倍の価格帯です。
それでも需要がある理由としては、以下のような要素が挙げられます。
- 赤みが強い外皮、厚くて歯ごたえのある果肉、小さい種といった「見た目+食感」の差別化ポイント
- 空輸による鮮度維持と、ギフト需要を意識したパッケージデザイン
- 「オーストラリア産」という原産地イメージによる安心感・プレミアム感
これらをセットで訴求することで、国産品との単純な価格比較ではなく「体験価値」として選ばれていると考えられます。
収穫時期のずれが生む「オフシーズン需要」
オーストラリア産ライチがベトナム市場で存在感を高めている背景には、収穫時期のずれがあります。
- ベトナム産ライチ:おおよそ4〜7月がシーズン
- オーストラリア産ライチ:11〜翌年1月がメインシーズン
ベトナムでは年末〜テト(旧正月)にかけて、ギフト需要やごちそう需要が最も高まりますが、このタイミングは国産ライチの「完全なオフシーズン」にあたります。ここをオーストラリア産が埋めている構図です。
オーストラリア国内では高級ライチが1箱5kgあたり約80USDで販売されており、その一部が空輸されるかたちでベトナムの高付加価値ニーズを取り込んでいます。
ベトナム果物市場における輸入ライチのポジション
高級フルーツとしてのターゲット層
価格帯と供給タイミングを踏まえると、オーストラリア産ライチの主なターゲットは次の層です。
- ホーチミン市など大都市圏の富裕層・アッパーミドル層
- 年末・テト前後のギフト需要(企業向け贈答・親族への手土産)
- SNS映え・「話題性」を重視する若年層の一部
「国産の7倍の価格だが、一度試してみたい」「年に一度の贈り物としてなら許容できる」といった心理で購入されていると考えられます。
物流・通関・鮮度管理のポイント
Kiamanaライチは空輸でベトナムに搬入されており、リードタイムの短さと低温管理によって鮮度を維持しています。ライチは常温での保存期間が短い果物であるため、輸入側のリスク管理としては、以下のようなポイントが重要です。
- 空輸ルートを前提としたコスト管理(運賃+保冷費用)
- 通関・検疫手続きにかかる時間の見積もりと余裕を持った販売計画
- 店頭や倉庫での低温保管設備、売れ残りリスクの管理
高価格帯ゆえに1ロットあたりの絶対額も大きくなるため、「売り切れる量だけを複数回に分けて入れる」という考え方が実務的には望ましいです。
オーストラリア産果物全体のプレゼンス
オーストラリアからベトナムに輸入されるのはライチだけではなく、他の果物や農産物も含まれます。2025年10月末時点で、オーストラリアからベトナムへの関連品目の輸入額は約1億4,200万USD、前年同期比で約9%増加しており、安定的な需要の拡大が見られます。
ライチのように「季節のギャップ」を活かせる果物は、今後もオーストラリア産果物の中核商材として扱われる可能性が高いと考えられます。
オーストラリア産ライチの事例では、国産の約7倍という価格差を、以下の要素で補っています。
- 味(甘味・香り・食感)の違い
- 見た目・サイズ・パッケージの高級感
- オフシーズン供給という利便性
果物・加工品でも、「糖度」「見た目」「ストーリー(産地・生産者)」など、どこをプレミアムとして打ち出すかを明確にしないと、単なる「高い輸入品」に留まってしまいます。
チャネル戦略(TT/MT・EC・ギフト)
高級フルーツの場合、チャネルによってターゲットも売り方も変わります。
- MT(モダントレード:スーパーマーケット・ハイパーマーケット)
– ギフトコーナーや輸入果物コーナーでの展開が中心。プロモーションや試食を組み合わせやすい。 - TT(トラディショナルトレード:街場の果物店・市場)
– オーナーの裁量が大きく、目利きとしての推薦が効きやすい。Kiamanaのような「話題の商品」は、まず輸入果物専門店から広がりやすい。 - EC・SNS販売
– 写真・動画で「見た目の良さ」を伝えやすく、ギフト用途とも相性が良い。
日本の果物は、ベトナムで輸入解禁されている品目はまだまだ限定的です。輸入解禁される品目が増えていくかどうかは不透明であるために、日本企業が販売戦略の参考にすることは難しいでしょう。ただし、同じように付加価値が高い加工食品を販売していく場合には、このような取り組みは日本企業にとって参考になるかもしれません。どのチャネルから攻めるかは、ターゲット顧客と商品の性質に合わせて選ぶ必要があります。
事前に押さえたい市場調査・テスト販売
実際にベトナム向けに輸出する前に、最低限確認しておきたいポイントは次の通りです。
- 価格帯:国産品・他国輸入品と比べた際の「許容される価格レンジ」
- 味・品質評価:現地消費者がどのポイントを評価するか(甘さ/食感/香り/見た目など)
- パッケージ:ギフト用途として「映える」か、情報表記はわかりやすいか
- シーズナリティ:どの季節・イベントで売れやすいか(テト、年末、開店祝いなど)
このあたりは、ベトナム市場調査 を通じて、定量・定性の両面から確認しておくと、その後の投資判断がしやすくなります。
MAI Internationalが支援できること
ベトナム市場調査・競合分析支援
MAI Internationalでは、ベトナム食品市場について、これまで多数の市場調査プロジェクトを実施してきました。
- 市場規模や価格帯、主要プレーヤーの整理
- チャネル別(TT/MT・EC)の販売状況・棚取り状況の把握
- 富裕層・中間層それぞれに対する商品の受容性テスト
といったテーマをオーダーメイドで設計し、レポートとディスカッションを通じて日本側の意思決定をサポートします。
オンラインテストマーケティングと販路開拓支援
実際のベトナム消費者に商品を試してもらいながら、反応を見るためのオンラインテストマーケティングも提供しています。
- ベトナム語ランディングページの作成
- SNS広告(マイクロインフルエンサー含む)を活用した集客
- 現地ECサイトでのテスト販売とレビュー取得
といった施策を通じて、「いきなり本格展開」する前に、ベトナムでの手応えを検証できます。輸入果物の場合は特に、価格と品質のバランスに対する現地の感度を実際の購買データで確認できる点が重要です。
ベトナム市場への進出・マーケティングに関するご相談
MAI International では市場調査、TT/MTチャネル開拓、EC・デジタルマーケティング、現地法人設立支援などを提供しています。ベトナム展開やチャネル戦略を相談したい方は下記よりお問い合わせください。
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※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。