10年前にタイムスリップ?広がる「2026 is the new 2016」トレンド

ベトナムで「2026年は新しい2016年」が話題に

ベトナムの若者向けメディア「Kenh14」を見ていたところ、ちょっと興味深いSNSトレンドの記事を見つけましたのでご紹介します。

話題になっていたのは、「2026 is the new 2016(2026年は新しい2016年)」というトレンドです。2026年に入ってから、InstagramやTikTokなどで10年前の2016年を振り返り、当時の自分の写真や動画を投稿する動きが世界的に広がりました。そして、このトレンドはベトナムにもかなり早い段階で入ってきたようです。

Kenh14が2026年1月16日に掲載した記事では、Quỳnh Anh Shyn(クイン・アイン・シン)、Thảo Nhi Lê(タオ・ニー・レー)、Primmy Trương(プリミー・チュオン)など、ベトナムで知られるインフルエンサーや著名人が次々と2016年当時の写真を投稿している様子が紹介されています。

単に昔の写真を投稿するだけではなく、「10年前の自分はこんな感じだった」「あれからこんなに変わった」と、自分自身の10年間を振り返るコンテンツになっているところが特徴的です。

2016年のSNSは、今見ると意外と“時代”を感じる

なぜ2016年なのか。理由の一つは、当然ながら2026年からちょうど10年前だからです。

ただ、当時のSNSを思い出すと、現在とはかなり雰囲気が違います。Instagramの強めのフィルター、Snapchatの犬の顔フィルター、彩度の高い写真、チョーカーやスキニージーンズなど、2016年前後には一目で「あの頃」と分かるようなビジュアルやファッションが数多くありました。

Kenh14の記事では、記事掲載時点でTikTokの「#2016」には約170万件の投稿があったと紹介されています。ベトナム国内だけの数字ではありませんが、それだけ世界規模で2016年を振り返る動きが大きくなっていたことが分かります。

海外メディアでも、「2016年そのものが客観的に良い時代だった」というより、今よりもSNSが少し気楽で、完璧に作り込まれていなかった時代への懐かしさが背景にあるのではないか、という分析が見られます。

ベトナムでは「2016年の自分と2026年の自分が会話する」形にも発展

さらに興味深いのは、このトレンドが昔の写真を投稿するだけでは終わらなかったことです。

2026年3月には、ベトナムのTikTokで「2016年の自分が質問し、2026年の自分が答える」形式の動画が広がっているとKenh14が再び報じています。

例えば、2016年当時に書いたFacebookの投稿や昔の動画を引っ張り出し、「10年後にはお金持ちになっている?」「あのとき付き合っていた人とはどうなった?」「将来はどんな仕事をしている?」といった過去の自分からの質問に、現在の自分が答えるというものです。

当然ながら、10年前に思い描いていた人生と現在が一致する人ばかりではありません。それでも、「思っていた人生とは違うけれど、これはこれで悪くない」といった回答が共感を集めているようです。

年初には「懐かしい写真を見る」というトレンドだったものが、その後は個人の人生や成長を語るストーリー型コンテンツに変化しているわけです。SNSトレンドが短期間で別のフォーマットへ派生していく点も、ベトナムのデジタル文化を観察するうえで興味深いところです。

ベトナムでは海外トレンドの「ローカライズ」が速い

今回の記事を見ていて改めて感じるのは、ベトナムでは海外で発生したSNSトレンドが非常に早く取り込まれ、ベトナム人ユーザーなりのコンテンツへ変換されていくことです。

海外で流行したフォーマットをそのままコピーするというより、ベトナムのインフルエンサーや一般ユーザーが、自分の写真、学校生活、仕事、恋愛、家族など身近なテーマを載せることで、ローカルなコンテンツになっています。

MAI Internationalでも以前、TikTok上で「氷が溶けるまで勉強する」というチャレンジがベトナムの若者の間で広がった事例を紹介しました。ベトナムでは、このような「誰でも参加できる簡単なフォーマット」が生まれると、一気にユーザー投稿が増えるケースがあります。

また、「癒やし(chữa lành)」というキーワードが若者の間で注目された事例などを見ても、SNS上の流行は単なる娯楽ではなく、その時々の若者の心理や価値観を映すものとして見ることができます。

日本企業のベトナムマーケティングにも参考になる

このトレンド自体に日本企業が無理に乗る必要はありません。ただ、ベトナム向けSNSマーケティングを考えるうえでは、いくつか参考になる点があります。

  • 参加方法が一目で分かるコンテンツは拡散しやすい
  • 完成度よりも「自分もやってみたい」と思わせるフォーマットが重要
  • 商品説明だけではなく、ユーザー自身の思い出やストーリーを主役にできる
  • 海外発トレンドでも、ベトナム人の日常に置き換えることで急速にローカライズされる

例えば、10年以上ベトナムで事業を展開しているブランドであれば、「2016年のベトナムと2026年のベトナム」「10年前の商品と現在の商品」といった切り口も考えられます。ただし、流行しているからと無理に企業アカウントが参加すると広告色が強くなってしまうため、ブランドとの相性を見ることが重要です。

ベトナムのSNSを見ていると、こうした小さなトレンドから若者の感覚や消費者心理が垣間見えることがあります。市場調査というと統計データに目が行きがちですが、日々のTikTok、Facebook、Instagramや現地メディアを観察することも、生活者を理解するうえではかなり重要です。

ベトナムのSNSトレンドは引き続き要注目

「2026年は新しい2016年」という言葉だけを見ると、単なる懐古ブームにも見えます。しかしベトナムでの広がりを追ってみると、昔の写真の投稿から、10年前の自分との対話、人生の振り返りへとコンテンツが変化しており、SNSならではの面白い現象になっています。

日本企業にとっても、ベトナムの若者が「何を面白いと感じ、なぜ投稿したくなるのか」を知る一つの材料になりそうです。

このようなベトナム国内のちょっとした流行についても、今後引き続きご紹介していきたいと思います。

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