近年、日本の製造業は歴史的な転換点に立たされています。原材料費やエネルギーコストの高騰、さらには国内の長年付き合いのあった協力工場の高齢化・廃業により、従来のサプライチェーンを維持することが極めて困難になっています。
こうした背景から、「チャイナプラスワン」の筆頭格として、あるいは新たな中核生産拠点として、ベトナムでのOEM(相手先ブランド名製造)や生産委託を検討する日本企業が急増しています。しかし、いざ進出を試みても、「自社の要求スペックを満たす技術力を持った工場がどこにあるのか分からない」「過去に海外委託で不良品の山を築いたトラウマがあり、品質管理に踏み切れない」といった壁に直面し、計画が頓挫してしまうケースも少なくありません。
本記事では、まさにそうした課題を抱えていた中堅機械メーカーが、B2Bマッチング・支援プラットフォーム「Connect Vietnam」を活用し、いかにして最適なベトナムのOEMパートナーを発掘し、日本水準の品質管理体制を現地で構築したのか。そのリアルな道のりを、スクリーニングから実際のタフな交渉プロセスに至るまで包み隠さず公開します。
クライアント企業プロフィールと直面していた3つの課題
今回、ベトナムでのOEM先開拓の支援をご依頼いただいたのは、関東地方に本社を置く株式会社K社(仮名)です。
【企業プロフィール:株式会社K社】
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事業内容: 産業用機械部品および精密加工部品の製造・販売
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従業員数: 約300名
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従来の生産体制: 国内の自社工場および国内協力工場が中心。一部汎用部品を中国のサプライヤーから調達。
K社の購買・製造部門は、プロジェクト発足当時、経営を揺るがしかねない以下の3つの深刻な課題に直面していました。
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調達コストの高騰による利益率の圧迫 中国の人件費上昇と地政学的リスクの高まり、さらに円安の影響が直撃し、中国サプライヤーからの調達コストがここ数年で急激に悪化。国内生産への回帰も検討しましたが、慢性的な人手不足によりラインの増設は不可能であり、抜本的なコスト構造の改革が急務でした。
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「自社の図面」を形にできる現地工場の情報不足 ベトナムが有力な調達先候補として挙がったものの、K社の求める加工精度(ミクロン単位の公差)を実現できる工作機械(最新の5軸マシニングセンタ等)を保有し、かつ図面を正しく読み取れる工場をどうやって探せばよいのか、まったくノウハウがありませんでした。インターネット上の表面的な情報だけでは、実態を把握できなかったのです。
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過去のトラウマによる「品質管理(QC)」への強い不安 K社は10年ほど前、東南アジアの別の国で委託生産を試みましたが、指定した材質と異なる材料を使われたり、納品物の3割が寸法不良で廃棄になったりという苦い経験がありました。「言葉の壁がある海外で、日本と同等の品質管理体制を本当に構築できるのか」という懸念が、社内決済を通す上での最大のネックとなっていました。
「Connect Vietnam」導入の決め手:伴走型のスクリーニング体制
自社単独でのリサーチに限界を感じたK社は、複数の海外進出コンサルティング会社の比較検討を行いました。その中で「Connect Vietnam」をパートナーとして選定いただいた最大の理由は、単なる「リストの提供」で終わらない「伴走型のスクリーニング体制」にありました。
Connect Vietnamのデータベースには、ベトナム全土の優良な製造業・加工工場の情報が蓄積されています。しかし、私たちの真の強みはデータそのものではなく、現地の商習慣と日本のモノづくりの双方に精通した専門スタッフが間に入ることです。
各工場が保有する設備リスト、過去の日本企業との取引実績、ISO取得状況はもちろんのこと、「現場の作業員の定着率」や「経営陣の品質に対するスタンス」といった定性的な情報まで把握しています。K社のご担当者様からは、「単なる通訳や仲介ではなく、自社の購買部の一員として、技術的な専門用語を交えながら現地工場とタフな交渉をしてくれる点に強い安心感を覚えた」との評価をいただきました。
実録:OEM先決定と品質管理体制構築までの道のり
ここからは、K社とConnect Vietnamのプロジェクトチームが歩んだ約半年間の軌跡を、4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:要件定義と精緻なスクリーニング(1ヶ月目)
まず着手したのは、K社が求めるQCD(品質・コスト・納期)要件の徹底的な洗い出しです。対象となる部品の図面、月間の想定生産ロット、目標調達単価を共有いただき、Connect Vietnamのデータベースに照らし合わせました。
100社を超える金属加工の候補リストから、保有設備(NC旋盤、マシニングのメーカーと台数)、日本企業向けの生産実績などをフィルターにかけ、まずは要件を満たしうる10社にロングリストを絞り込みました。その後、各社へ図面に基づく大まかな見積もりと技術的なQ&Aをオンラインで実施し、最終的に現地視察を行う有力候補3社(ショートリスト)を選定しました。
ステップ2:現地視察と工場監査(オーディット)(2ヶ月目)
候補が3社に絞られた段階で、K社の品質管理責任者様と共にベトナムへ渡航し、直接の工場監査(オーディット)を実施しました。
ここで重視したのは、出てきたサンプルの出来栄えだけでなく、「製造プロセスそのものが管理されているか」です。Connect Vietnamのスタッフも同行し、現場での5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底度、測定機器の校正記録の有無、不良品が発生した際の隔離ルールなどを厳格にチェックしました。
結果として、設備は最新ではないものの、現場の作業員が手順書を遵守し、経営トップが品質向上に対して最も意欲的であったホーチミン近郊の地場企業(V社)を最終候補として決定しました。
ステップ3:テスト生産とタフな条件交渉(3〜4ヶ月目)
ここからが最も困難なフェーズでした。V社との間で金型を製作し、数十個単位のテスト生産(トライアル)を開始しましたが、初期段階では寸法公差のばらつきが発生し、目標とする歩留まりに達しませんでした。
言葉の壁もあり、K社の担当者様も「やはり海外では無理なのか」と焦りを感じる場面もありました。ここでConnect Vietnamの現地スタッフが間に入り、原因究明のファシリテーションを行いました。 単に「不良を出さないでくれ」と要求するのではなく、K社が用いている「QC工程表」をベトナム語に翻訳し、どの工程でどの測定器を用いて全数検査を行うべきか、日本のQCセブンツールの考え方を現場の職長クラスに直接指導しました。不良が出た場合のペナルティではなく、品質を安定させるための「仕組み作り」をV社の経営陣と膝を詰めて交渉したのです。
ステップ4:量産開始と安定化(5ヶ月目〜)
度重なる金型の微調整と、検査プロセスの現地化(ローカライゼーション)が功を奏し、3回目のテスト生産でついにK社の厳しい品質基準を安定してクリアすることに成功しました。
この実績をもとに、責任分解点や不良発生時の補償条件を明確に定めた正式な「OEM生産委託契約書」を締結(ここでもConnect Vietnamの法務サポートが介入)。プロジェクト発足から約半年で、第一ロットの量産出荷に漕ぎ着けました。
導入の成果と今後の展望
今回のベトナムOEM先開拓プロジェクトにより、K社は以下の大きな成果を手にしました。
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調達コストの大幅削減: 中国からの調達および国内生産と比較し、輸送費を含めてもトータルで約25%の製造コスト削減を達成しました。
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国内水準の品質確保: 量産開始から半年が経過した現在でも、不良品率は0.1%未満という極めて高い水準を維持しています。これは国内の協力工場と同等の品質です。
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強靭なサプライチェーンの獲得: 特定の国に依存しない生産拠点を持ったことで、BCP(事業継続計画)の観点からも大きな強みを獲得しました。
K社は現在、今回構築したV社との強力なパートナーシップを活かし、既存部品のコストダウンだけでなく、ベトナムをハブとしたASEAN市場向けの新規製品の共同開発にも着手し始めています。
担当者様からのコメント(お客様の声)
プロジェクト終了後、K社の購買責任者様より以下のコメントをいただきました。
「正直なところ、最初は『ベトナムの工場に精密部品を任せて大丈夫か?』という社内の反対意見が根強くありました。自社だけで視察に行っていたら、綺麗な設備だけを見て判断を誤り、過去の失敗を繰り返していたかもしれません。 Connect Vietnamの皆さんは、ただ通訳をするだけでなく、時に私たちに代わって現地工場のトップに厳しい要求を突きつけ、同時に現場の作業員に寄り添って日本の品質管理の考え方を根気よく教えてくれました。私たちのモノづくりの魂を理解した上で橋渡しをしてくれたからこそ、今の安定した生産体制があると感じています。」
ベトナムOEM成功の鍵は初期のパートナー選びにあり
K社の事例が示すように、ベトナムでの生産委託を成功させる鍵は、最初の「パートナー選び」と、妥協のない「初期の品質管理体制の構築」に尽きます。
言葉や文化の違いを理由に現場の管理を現地企業に丸投げしてしまえば、期待した結果は得られません。逆に、適切なスクリーニングを経て、日本の品質基準を共に作り上げる意欲のある工場と出会うことができれば、ベトナムはこれ以上ない強力な製造拠点となります。
自社に最適なベトナムの製造元を探したい、あるいは現在の調達先に課題を感じているという方は、ぜひ一度「Connect Vietnam」にご相談ください。
貴社の図面や要求スペックを基に、生産可能な工場があるかどうかの初期診断を無料で行っております。日本の製造業の未来を拓くため、私たちが全力で伴走いたします。
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