食品団体「前検から後検へ、サプライチェーン管理へ」

この記事のポイント

  • ベトナムの食品安全団体が発言
  • サプライチェーン管理の運用ルール
  • 「国家がすべて担うのは高負荷」

食品安全法令の変更について、業界団体がコメントしている報道がありましたので紹介します。

政令第46号/2026/NĐ-CPが一時停止され、企業の当面負担は軽くなりました。しかし、ベトナムの食の安全性を高め、消費者の信頼を回復することを目的に設立された非営利団体であるAFT(Hiệp hội Thực phẩm Minh bạch/透明食品協会)は、「停止=解決」ではなく、食品安全法改正で“管理の設計そのもの”を変えない限り、同じ混乱が形を変えて繰り返されるということについて言及しています。AFTの視点は、単なる手続き論ではなく、前検(事前検査)偏重から、リスクベース+後検(事後監査)+サプライチェーン管理へという方向性にあります。

VOV報道では、AFT会長のグエン・ティ・ホン・ミン氏は、最終製品だけに焦点を当てず、原材料・生産から流通までの危害(リスク)を管理すべきと述べています。

政令46号の停止で“いったん軽くなる”が、論点は終わらない

政令46号の運用停止は短期的な「圧力の緩和」になり得ますが、AFTや業界団体が懸念するのは、政令46号が前検の対象を無差別に広げ、完成品だけでなく原材料・添加物・包装材などにも手続き負担を波及させ得る点です(報道ベース)。この構造が残る限り、政令が再設計されても“別の形の前検”が再拡大する可能性があります。

そのため企業側は、政令の停止・再開に一喜一憂するより、AFTが問題提起する「管理の考え方」を先に理解して、法改正後に勝ちやすい運用へ寄せておく方が安全です。

AFT提言を実務に翻訳:企業が待つべき指示・準備すべき証跡

1)「前検の無差別拡大」を止める:検査対象の線引きを待つ

AFTが強く示唆しているのは、資源配分の最適化です。つまり、すべてを前検で網羅するのではなく、高リスク品目・高リスク工程に資源を集中させるべきという考え方です。企業として“待つべき指示”は、次のような具体化です。

  • 高リスク品目の定義(分類基準、例外、更新頻度)
  • 前検の対象範囲(完成品/原材料/添加物/包装材の線引き)
  • 検査頻度・サンプリング(リスク区分に応じた頻度、履歴による軽減)

ここが曖昧だと、現場運用(港・空港・省市)で要求がブレて、物流・在庫・販売開始時期に直撃します。

2)国際認証・検査結果の活用:重複検査を減らす“同等性”の指示を待つ

VOV記事内でも、企業側や専門家が、信頼できる国際機関が認定した検査機関の結果を承認するなど、重複を減らすべきと述べています。AFTの文脈でも、HACCP、ISO、GlobalGAP等の位置づけが重要になります。企業が待つべきのは「理念」ではなく、以下のような運用ルールです。

  • 同等性(equivalence)の条件:どの認証・どの試験成績が、どの手続きの代替になり得るか
  • 認定検査機関リスト:国内外のどの機関が有効か
  • 書類要件の統一:輸入時に求める証明書の種類・発行主体・形式

実務上は、認証があっても「追加の証明書」を求められて滞留するケースが出やすいので、統一ガイダンスが鍵になります。

3)最終製品だけでは足りない:原材料〜流通までのサプライチェーン管理へ

AFT会長の発言の核心はここです。最終製品の検査だけでなく、原材料・製造・保管・輸送・販売までの各段階で危害要因を管理し、追跡できる状態にする必要があるという主張です。これは「後検強化」型の制度になったとき、企業の守りを強くします。

  • ロット追跡(原材料→製造→出荷→店頭)
  • 規格書、COA、工程記録、温度管理、是正処置(CAPA)
  • 苦情対応・回収(リコール)手順の整備

制度が変わっても、これらの証跡が揃っている企業は、監査対応とリスクコミュニケーションが圧倒的に楽になります。

4)国家が全部抱えない:民間の検査・認証を“制度の一部”として扱う指示を待つ

AFTは「国家がすべてを処理するのは過負荷で、システム型へ移行すべき」という趣旨を述べています。ここから企業が現実に待つべきは、民間の検査・認証機関の位置づけが明確化されることです。

  • 検査・認証機関の責任範囲と監督スキーム
  • 虚偽・不正が起きた場合のペナルティと是正手順
  • 行政(MoH等)と民間機関の役割分担(どこまで委ねるか)

この整理が進むほど、企業は“手続きのための手続き”から解放され、リスク管理に投資しやすくなります。

※本記事は公開時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の法令・通達・解釈は必ず関係当局や専門家にご確認ください。

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引用元:vov.vn