全国に120店舗を展開する大型チェーンも
ベトナムの書籍市場は、オンライン販売の台頭にも関わらず、実店舗の書店チェーンが成長を遂げています。特にFAHASAのような大型チェーンは、新しい販売戦略と顧客サービスの向上により、売上を伸ばしています。
FAHASAは、ベトナムの書籍販売業界を代表する企業です。1976年に設立され、国内外の文学書籍、文化製品、文具などを取り扱うベトナム最大の書店チェーンであり、全国に120以上の店舗を展開しています。
FAHASAは、2023年にUPCoM上場以来最高の業績を記録し、純収益が前年比1%増の4兆VND、税引前利益が前年比53%増の700億ドンに達しました。
FAHASAは、顧客体験を向上させるために、テクノロジーの導入と自社の市場調査に基づいたオンライン販売チャネルの強化に力を入れています。FAHASAは、新型コロナウイルス感染症の流行中に最大80%の店舗が営業を停止しなければならなかったにもかかわらず、電子販売チャネルを通じて迅速に適応しました。
一方、その他のチェーン企業として、ADC Bookなどがあります。質の高い顧客サービスと充実した商品ラインナップで知られ、特に教育関連の書籍と教材に強みを持つ書店チェーンで14店舗を運営しています。ADCは「販売はサービスである」というモットーのもと、質の高い販売を目指しています。同社は、初めて年間4,000億VNDを超える収益を集めています。
業界の成長予測、2029年には収益1億1680万ドルに
FAHASAは、全国的な書店ネットワークの発展を目指しており、新たに5店舗の書店をオープンするなど、積極的な拡張を続けています。今年に入って、チャンドゥイハン店やキエンザン店など大型店舗を出店しています。その他、中部で開店準備中のショッピングモールにも出店するとのことです。同社によると、2023 年には、全国のFAHASA店舗に合計約4,000万人の顧客が利用したとのことです。
ベトナムの書籍産業は、国の人口増加、中間所得者層の拡大、そしてGDPの成長という三つの重要な要因に支えられています。2024年の現在、ベトナムの人口は約1億人に達し、年々着実に増加しています。特に都市部では、中間所得者層が増え続けており、2026年までには人口のほぼ30%を占めると予測されています。このことは、書籍市場の拡大に直接的な影響を与えています。ベトナム統計総局は、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(推計値)を前年同期比5.66%と発表しています。
ドイツ系の統計プラットフォームSTATISTAの市場調査レポートによると、ベトナムの書籍市場の収益は2024年には約1億690万ドルに達します。さらには、2029年までには約1億1680万ドルに成長すると予測されています。
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