本日は、ベトナムの医療制度について簡単にご説明をさせて頂きます。

 

【健康保険】

 

日本と同様、ベトナムにも政府が運営する健康保険制度があり、基本的にほとんどの国民が加入対象となっています。

健康保険の対象となるのは、病気診療、治療、リハビリ、各種検診、医薬品、医療用品、病院への輸送費となっており、指定医療機関での医療費の85~100%が保険で賄われる事となっていますが、この「指定医療機関」というのがポイントで、指定医療機関での医療費上限が決まっていますので、それをオーバーする場合は自己負担となりますので、料金の高い私立病院などではかなり自己負担額が高くなります。

図の様に、2004年は加入率21.10%で有ったのが、政府の努力により、2020年時点では90.85%まで増加しています。

【医療機関】

医療機関は、「公的医療機関」「私立病院」があり、「公的医療機関」はグレードⅠ~Ⅲまで規模に応じてに分かれています。

その中で、「ベトナム3大病院」といわれる「バックマイ病院(ハノイ)」、「フエ中央病院(フエ)」、「チョーライ病院(ホーチミン)」は規模の大きいベトナムを代表する総合病院です。

また、「公的医療機関」は、「中央レベル」「省・市レベル」「群レベル」「コミューンレベル」など、運営する組織により医療レベルも分かれています。

私立病院も増加しており、2018年時点では、全国に228病院存在します。

公的医療機関だけではまかないきれない為、政府としても私立病院や、外資病院の設立を認めており、特にホーチミン市やハノイ市の二大都市では日本・フランス・韓国・イスラエルなどの外資病院が存在しますし、ベトナム最大のコングロマリット企業であるビングループが運営する、ビンメック病院もあります。

下記は、いくつかの私立病院と公的医療機関の比較情報です。

ここで大きく異なる事は、「医師や看護師の給与水準」の違いです。

ある私立病院では、医師が最大1,500USDなのに対して、公的医療機関グレードⅠ病院の医師は最大で1,280万VND(約540USD)とかなり低く設定されています。

最近では特に新型コロナウイルスの流行もあり、医療現場は過酷な労働環境となっている為、優秀な医療従事者が私立病院へ転職してしまう事もあり、一般的な収入の国民が利用する事の多い公的医療機関の医療レベルが維持できるのかどうかが問われる事になっています。