キリンホールディングス株式会社がインターネット上で運営している仮想大学の「キリンビール大学」が世界各国のビール協会などに対して独自に実施したアンケート調査と最新の海外資料に基づき計170の世界主要国および各地域において、2018年のビール消費量をまとめた結果によると、2018年のベトナム市場のビール消費量は466.7万㎘で世界9位という結果で、全世界の消費量から考えた国別構成比は2.5%という事がわかりました。

ベトナムでは、ほとんどの人がお酒というとビールを連想するようで、ローカル料理店ではお酒はビールしかないという店も多く存在しています。缶ビール・瓶ビール以外にもベトナム人はビアホイという名前で販売されている生ビールを飲む人が多く大衆料理屋では1杯10,000VND(50円程度)ほどで味わえ、筆者は2006年にベトナムへ来たのですが、初めてベトナム人の友人達とビールを飲みに行った際はその安さに驚いた記憶があります。

以前はビールと言ったらSABECO社が展開する「333(バーバーバー)」「Saigon 」や、ハイネケン、タイガービールが主流だったのですが、日本のサッポロビールや、世界最大手のアンハイザーブッシュインベブが「Beck’s」「バドワイザー」「Hoegaarden」などの投入を開始し選択肢が多くなりました。

また、Heart of Darkness Breweryなどのクラフトビール製造販売を行う企業が現れ自社の料飲店を展開し始め、クラフトビールも大変盛り上がっています。

Heart of Darkness Brewery社ウェブサイトより

ベトナム市場でのビールの商流ですが、一般的にはメーカー側が販売ディストリビューター制度を構築し直販は行わず一次卸はメーカーから指定された区域での販売を取り仕切り、その区内の二次卸や料飲店、小売店への販売を行っている事が多い様です。しかし、全てのメーカーではなく特定のモダントレードに対してはメーカーから直接販売しているという事もあるようです。特徴的なのはマージン率でビールの小売店マージンは通常15~20%程度で行われる事が多い中、ベトナムは人件費の安さからか10%やそれ以下の一桁台で流通する事が多いという点です。

以前、SABECO社の一次卸と話をした際に、営業活動に関して、「営業はほとんど行っておらず、二次店(代理店、飲食店、小売店等)が直接注文をしてくることが多い。担当している区域の料飲店が連絡先が分からず直接SABECO社へ注文をしてくる場合があるが、その際はSABECO社から当社へ卸売りの指示が入る。」という事でした。日本人が考える卸売企業と違い、能動的な営業を行わず要望のある顧客へ配送する物流業者の様な感覚だと感じました。

今後も好調な経済を背景にベトナムのビール市場はクラフトビールやプレミアムビールがどんどんと投入され盛り上がって行く事が期待されています。